米雇用者数は1月に14万3000人増、予想下回る-失業率4%

米国では1月に雇用の伸びが減速した。年次ベンチマーク(基準)の改定では、昨年の労働市場がこれまで考えられていたより弱いことが示された。

キーポイント
  • 非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比14万3000人増
    • エコノミスト予想の中央値は17万5000人増
    • 前月は30万7000人増(速報値25万6000人増)に上方修正
  • 家計調査に基づく失業率は4.0%に低下-前月4.1%
  • ベンチマーク改定を受け、昨年の雇用増加は月平均16万6000人

  1月の雇用者数の変化と、前年3月まで12カ月の雇用者数修正は、減速しながらも依然健全な労働市場がインフレ圧力を高めることなく、経済を推進し続けている様子を浮かび上がらせた。昨年3度にわたって政策金利を引き下げた連邦公開市場委員会(FOMC)は追加利下げを急がない姿勢を見せており、今回の統計はそのスタンスの正しさも裏付けている。

November and December prints were revised up by a combined 100,000

Source: US Bureau of Labor Statistics

  失業率は年初の人口統計の推計修正を反映しており、前月までの数値とは比較できない。

  サンタンデールUSキャピタル・マーケッツの米国担当チーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏は「米金融当局はこれまで、労働市場をおおむね安定かつ健全と表現してきた。雇用統計の数値は確実にこの方向を向いていると思われる」と話す。「近い将来の追加利下げを検討する理由にならないことは確かだ」と述べた。

  雇用統計を受けた米金融市場では、国債利回りとドルが上昇した。

  政策当局者はインフレ抑制での進展が停滞気味な状況に加え、トランプ米政権の政策を巡る不透明感への対応を迫られている。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は最近、雇用市場を「かなり安定している」と表現したが、同議長をはじめとするFRB当局者らはこれまで、これ以上の冷え込みは望まない考えを繰り返し示している。

  発表元の米労働統計局(BLS)は、ロサンゼルス近郊の山火事や他地域での悪天候は1月の雇用に「認識可能な影響」を与えなかったと指摘した。それでも60万人近くが1月は悪天候のために働けず、その数は4年ぶりの多さとなった。これとは別に、通常はフルタイムで働いているが、悪天候のためにパート就労を余儀なくされた労働者は120万人にのぼった。

  こうした状況は就労時間にも影響し、1月の週平均労働時間は34.1時間。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)初期と並ぶ低い数字となった。平均時給は前月比0.5%増加し、前年同月比では4.1%増加した。

年次改定

  この日の発表には事業者調査の年次改定が含まれ、これによると2024年3月まで1年間の雇用者増は当初発表より58万9000人少ないことが明らかになった。昨年8月に発表された推計値では、09年以来の大幅となる81万8000人の下方修正とされていた。

  BLSは失業保険の税システム記録を用い、事業開設と閉鎖のデータを調整して、これまでに発表した雇用者数を修正する。 

Data are adjusted every year in January

Source: Bureau of Labor Statistics

  家計調査は国勢調査局がまとめた新しい人口推計値を反映。新しい数値では、労働人口における就業者数が増加した。このうち外国生まれの労働者が占める割合は大きく、依然として移民が雇用増の主な要因となっていることが示された。

  最新の人口推計値を反映させた労働参加率は、1月に62.6%だった。25-54歳の労働者ではこの比率は83.5%だった。

  ブルームバーグ・エコノミクスのアナ・ウォン、スチュアート・ポール、イライザ・ウィンガー、クリス・G・コリンズ4氏は「1月の雇用者数がかなり弱めの数字であることに留意したい。また、過去データの修正があったにもかかわらず、雇用のレベルは事業所調査と家系調査の両方でなお過大評価されていると考えられる」と分析。「今年75ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利下げを予想する基本シナリオを、われわれは維持する」と述べた。

関連記事:【米雇用統計】強弱が混在、3月は据え置きの公算-市場関係者の見方

  統計の詳細は表をご覧ください。

原題:US Job Growth Slowed in January After 2024 Downward Revision(抜粋)

(チャートやエコノミストのコメントをさらに追加します)

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