劇場版「チェンソーマン レゼ篇」の盛り上がり 変わる劇場版アニメのスタンダード #エキスパートトピ
劇場版「チェンソーマン レゼ篇」が、早くも興収12億円を突破し、週末観客動員ランキングの首位を獲得するロケットスタートをみせました。
注目の漫画家・藤本タツキ氏の原作を「呪術廻戦」などを手掛けるMAPPAが映像化した作品だけあり、公開前から話題性も高かった本作。
加えて今回は、テレビアニメや原作などを飛ばして【この映画で初めて「チェンソーマン」に触れる】層もかなり多いようなのです。
このことは、従来の劇場版アニメのスタンダードを大きく変え得るものでもあります。
ココがポイント
チェンソーマン【公式】(@CHAINSAWMAN_PR)
劇場版『チェンソーマン レゼ篇』はファンからの人気も厚い、TVアニメの最終回から繋がる「レゼ篇」を映画化出典:アニメ!アニメ! 2025/8/27(水)
「チェンソーマン 総集編」は、テレビシリーズ全12話を再編集した本編に(中略)新規映像「ちぇんそーびより」を追加した内容出典:アニメハック 2025/8/26(火)
エキスパートの補足・見解
本作「レゼ篇」はテレビアニメ「チェンソーマン」の続編となるエピソード。
一方で【続編でありながらそれ単体でもひとつの物語が完結する】ので、シリーズ未履修でも十分に楽しめる内容となっています。
実はこうした特徴から、本作に限らず「鬼滅の刃」の「無限列車編」などもそうでしたが、作品に触れたことがない人が“テレビアニメを飛ばしていきなり続編となる劇場版から鑑賞する”ケースは今や珍しくないようです。
それ単体でも楽しめることに加え、本作の「総集編」配信のように、今は気になったら過去のエピソードをいつでも遡れる配信環境も充実しています。
そうなるとシリーズに初めて触れる人にとっては、テレビアニメを12話以上視聴するより2時間程で鑑賞できる劇場版の方が、作品の入り口としてハードルが低くなってくるのかもしれません。
漫画原作のアニメでは、本編を追うのに劇場版の鑑賞が必須になってしまうからか、テレビシリーズの合間に制作される劇場版がテレビアニメの続編となることはあまりありませんでした。
しかし本作や「鬼滅」のように【本編途中の劇場版も新規層の入り口になる】今、今後この形も劇場版アニメの新たなスタンダードになり得るのかもしれません。
北海道大学観光学高等研究センター研究員。博士(観光学)。 KDエンタテインメント所属。 毎週約100本以上(再放送、配信含む)の全アニメを視聴し、全番組の感想をブログに掲載する活動を10年以上継続しつつ、学術的な観点からアニメについて考察、研究している。 様々な媒体へのコラムの寄稿や番組へのコメンテーター出演をする傍ら、アニメ情報の監修で番組制作にも参加し、アニメビジネスのプランナーとしても活動中。