ハンタウイルス対応を急ぐ各国、クルーズ船関係者5人の感染確認 旅客機乗務員も感染の疑い
(CNN) クルーズ船「MVホンディウス号」で起きたハンタウイルスの集団感染をめぐり、米国や欧州、シンガポールなど複数カ国の保健当局が接触確認や感染防止対策を急いでいる。世界保健機関(WHO)は7日、同船に関係する人の間で5人の感染が確認されたと発表した。
MVホンディウス号が先月アルゼンチンを出航した後、オランダ国籍の夫婦2人とドイツ国籍の1人が死亡した。南アフリカの保健当局がCNNに語ったところによると、最初に感染した疑いがある70歳のオランダ人男性は、乗船中に突然具合が悪くなって発熱や頭痛、腹痛、下痢の症状を発症し、4月11日に船内で死亡した。
クルーズ船を運航するオーシャンワイド・エクスペディションズは7日、同船には現在、23カ国の146人が「厳格な予防措置」の下にとどまっていると発表した。
乗客少なくとも30人は、南大西洋に浮かぶ孤島セントヘレナ島で4月下旬に下船した。数人の重症者は今週、空路欧州に搬送され、残る乗客はスペイン領のカナリア諸島に到着した後、それぞれの国に帰国する予定。
スペイン当局は、現地時間の10日正午ごろ、同船がカナリア諸島のテネリフェ島に到着すると発表した。
集団感染の状況が明らかになる前に複数カ国で下船した乗客がいたことから、この状況は国際的な注目を浴び、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)初期の状況と比較する声も出ている。
世界的な感染拡大が懸念される中、運航会社は「3月20日以降にホンディウス号が寄港した各地で乗降した乗客と乗員全員」について詳細把握に努めていると説明した。
WHOは7日、症例は今後も増える見通しだとしながらも、新型コロナのように大規模な感染拡大が起きる事態は予測しておらず、感染拡大のリスクを裏付ける根拠はないと強調している。
今回の集団感染は、濃厚接触を通じて人から人に感染することがあるハンタウイルスのアンデス株との関係が指摘されている。
集団感染が起きた経緯は現時点で不明だが、WHOは、死亡したオランダ人夫婦が乗船前にアルゼンチンで観光旅行した際に感染した可能性があると推測している。
WHOのテドロス事務局長は7日、この2人について「バードウォッチングツアーでアルゼンチン、チリ、ウルグアイを旅行し、同ウイルスを媒介することが分かっているネズミがいる場所も訪れていた」と記者団に語った。
ハンタウイルスに感染してから発症するまでの潜伏期間は通常、1~6週間。夫婦は感染後、しばらくたってから発症した可能性が大きいと保健当局は見ている。
航空会社乗務員に感染の疑い
アルゼンチンは感染源を突き止めるため、オランダ人夫婦が4月1日にウシュアイアでMVホンディウス号に乗船するまでにたどったルートの確認を進めている。
運航会社によると、MVホンディウス号から避難した乗客3人は、治療のためオランダに到着した。うち2人は重症で、残る1人は症状は出ていないものの治療を受けているという。
これとは別にオランダ保健当局は、航空機内で感染者と接触した3人が発症してアンデス株の検査を受け、2人は陰性、もう1人は検査結果を待っていると発表した。現地メディアの報道によると、検査を受けたうちの1人はKLM航空の乗務員で、4月に南アフリカで死亡した69歳のオランダ人女性と接触していた。もし陽性と判定されれば、MVホンディウス号の乗船者以外では初めてとなる。