テスラ・モデル3の事故車部品を使って机の上で車載コンピューターを動作させる方法

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テスラ車にはさまざまなインフォテインメントシステムを操作したり、自動運転を行ったりするコンピューターが搭載されています。そんなテスラ車の車載コンピューターを「机の上」で動作させる方法について、Metaの製品セキュリティ部門で勤務するデヴィッド・シュッツ氏が解説しました。

Running Tesla Model 3's Computer on My Desk Using Parts From Crashed Cars - bugs.xdavidhu.me

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テスラは自社車両の脆弱(ぜいじゃく)性を見つけた研究者を対象としたバグ報奨金プログラムを実施しています。シュッツ氏はテスラ車の脆弱性を探すため、オンラインオークションのeBayでテスラ・モデル3の部品を購入し、自分の机の上でテスラ車のコンピューターとタッチスクリーンを動作させようと思い立ったとのこと。

テスラ車の車載コンピューターは、メディアコントロールユニット(MCU)とオートパイロットコンピューター(AP)の2つが上下に重ねられた構造になっており、助手席の前方にあるグローブボックスの後ろに配置されています。コンピューターはiPadほどの大きさで、厚さは500ページの本程度であり、水冷式の金属製ケースに収められています。

シュッツ氏がeBayで検索してみたところ、テスラ・モデル3のMCUは200~300ドル(約3万2000~4万8000円)の価格帯でかなりの数が売られていました。これらの出品者の多くは事故車を引き取って解体し、部品を個別に販売する業者だったとのこと。 車載コンピューターを起動させるにはMCUに加え、「12Vで供給可能なDC電源」「解体されたモデル3から取り出したタッチスクリーンモジュール」「これらを接続するケーブル」が必要でした。シュッツ氏はAmazonで0~30Vの可変式DC電源を購入し、eBayで175ドル(約2万8000円)のタッチスクリーンモジュールを購入。しかし問題はMCUとスクリーンを接続するケーブルで、大抵の業者はコネクタから数cmのところでケーブルを切断して販売していたそうです。

シュッツ氏は、テスラのサービスウェブサイト上で全車種の配線に関する「電気リファレンス」を調べて、モデル3には6ピンケーブルと特殊なコネクタ(Rosenberger 99K10D-1D5A5-D)が使われていることを知りました。これらのケーブルを一般人が購入することは困難だったため、シュッツ氏はこれとよく似たBMWの映像伝送に使われる「LVDS」というケーブルで代用することにしました。 先にMCUが届いたため、シュッツ氏はオンライン上の写真を参考にして付属ケーブルの配線をはがし、電源クリップを正しい位置に取り付けました。すると、赤いLEDが点灯してコンピューターが起動したそうです。

その後、シュッツ氏は電源コネクタの隣にあるポートとノートPCにイーサネットケーブルを接続し、DHCPがないのでIPアドレスを手動で割り当てるなどしながら、スクリーンやケーブルの到着を待ちました。しかし、届いたLVDSケーブルはコネクタが合わなかったため、シュッツ氏はケーブルを剥がして個々のワイヤーを接続するという方法を試みたとのこと。この方法は数秒間だけ機能したものの、すぐにショートしてしまいました。 最終的にシュッツ氏は、ダッシュボードの配線ハーネス一式を購入することにしました。実際に届いたハーネスを見てみると、テスラ車には個々のケーブルが使われているのではなく、複数のケーブルを束ねたハーネスが使用されていることがわかりました。つまり、シュッツ氏が探していたケーブルはそもそも製造すらされておらず、すべてハーネスと一体になっていたというわけです。以下が実際のハーネス一式の写真。

配線ハーネスは非常にかさばりましたが、これを使うことでシュッツ氏はテスラの車載コンピューターを机の上で動作させることに成功しました。シュッツ氏は今後、ユーザーインターフェースを操作したり、公開されているネットワークインターフェースとやり取りしたり、CANバスを探索したり、場合によってはファームウェアの抽出を試みたりする予定だと述べました。

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