トランプ氏の「解放の日」関税発動まで2週間-各国が交渉急ぐ
トランプ米大統領が自ら設定した貿易協定締結の期限まで2週間と迫る中、主要貿易相手国・地域との交渉は山場を迎えている。一部の国では、関税引き上げを回避するための協定締結が難航している。
交渉の行方は各国にとって極めて重要だ。7月9日以降、協定を締結していない輸出国には、現行の10%関税にいわゆる「解放の日」関税が加わることになる。トランプ氏は、大規模な関税措置を発表した4月2日を「解放の日」と呼んでいる。
現時点で合意に至っているのは英国のみだが、それでも10%の関税が維持され、英国が懸念していた25%の鉄鋼関税は未解決のままだ。一方、中国とは8月中旬までの交渉猶予を設ける方向で、脆弱(ぜいじゃく)さをはらむ暫定的な関税措置停止が続いている。
交渉が建設的と見なされている国には、期限延長の可能性もある。各国・地域との状況は以下の通りだ。
欧州連合
ブルームバーグが報じたところによると、最善のシナリオは、7月初旬の期限を超えて協議を継続できるようにする原則について、欧州連合(EU)と米国が合意に達することだという。トランプ氏は先週、EUとの協議について不満を示し、一方的な関税を課すとして協議を打ち切ると脅した。
インド
米国と双方とも期限前の暫定合意を目指しているが、特に農産品を巡って対立が続いている。米国は遺伝子組み換え作物の市場開放を求めており、インド側はこれを拒否。一方、インドは上乗せ関税や特定分野の関税の免除を求めている。
ベトナム
ベトナム共産党のラム書記長は、政府関係者や経済界の代表らと共に米国を訪問し、トランプ氏との会談を目指し、米企業との追加合意を取りまとめる方針だ。
ベトナムはボーイングの航空機から農産物に至るまで、米製品の購入拡大を申し出ており、合意成立を後押ししたい考え。交渉担当者らは、関税を20-25%の範囲とする枠組み合意に近づいていると、ブルームバーグ・ニュースは報じている。
日本
自動車関税が日米交渉の最大の障害となっている。石破茂首相とトランプ氏は主要7カ国首脳会議(G7サミット)で合意に至らず、これまでに3回の電話会談でも進展はなかった。
現在、次回の交渉に向けた調整が進められている。米国は日本に対する関税を24%上乗せする方針を示しており、これは現在課されている自動車への25%、鉄鋼・アルミニウムへの50%の関税に加わることになる。
韓国
韓国と米国の交渉は実質的な進展を見せていない。G7サミットで予定されていた李在明大統領とトランプ氏の会談は中東情勢の緊張により直前で中止された。韓国は25%の追加関税のリスクに直面している。
原題:Pressure for Trump Trade Deals Ramps Up With Two Weeks to Go (1)(抜粋)