私は誰?カバンに残された60万円で身元探す“記憶喪失”の男性

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 島根県の山の中で見つかった男性。実は「記憶喪失」だといいます。情報を求め、必死の訴えです。

山中で発見 カバンに60万円

記憶を失ったという 自称 田中一さん 「やっぱり記憶がないので。自分がどういう人間だったのか。今後どのように生きていけばいいのか全く分からない」

 男性は切に願っています。自分が誰だか知ることを…。

 大阪府内の飲食店で働く男性。今は「田中一(たなか・はじめ)」と名乗っています。今年7月以前の記憶を失い、本当の名前が分からないためです。

自称 田中さん 「記憶がなくなった状態で目が覚めたことがことの始まり。自分のこと、人に関することが完全に分からない状態。食べ物に関しては、パンとコメは分かるけど、『唐揚げってなんだっけ』『しょうが焼きってなんだろう』」

 田中さんが目覚めたのは7月上旬。大阪の中心部からおよそ230キロ離れた島根県奥出雲町だったといいます。現場は山沿いを通る国道沿いの茂みでした。

自称 田中さん 「頭が痛くて目が覚めた」

「(Q.持ち物は?)カバンが倒れていて、その中に衣類やメガネが入っていた。空になった財布が置いてあった」

 財布の中身は空っぽで、身分証もなく、携帯電話も見つかりません。

 しかし、カバンには衣類やメガネの他に保存用ポリ袋が。その中に現金が入っていたのです。

自称 田中さん 「(Q.金額はどのくらい?)60万円くらい」

 ナゾの60万円と共に、およそ2カ月に及ぶ“記憶を探す旅”が始まります。

私は誰?“記憶喪失”の苦悩

自称 田中さん 「キャンプのテントや食品だとか色々買って…」

 まず田中さんがとった手段は「記憶が戻るまで待つ」ことです。60万円を頼りにキャンプ用品をそろえて野宿生活をしていました。

 しかし、3週間ほど経って思い出したのは、大阪のグリコの看板や富士山などの断片的な記憶です。

 いまだに自分の名前が分からず、8月に入り、島根県警に相談。顔写真を撮影され、指紋も採取されましたが…。

島根県警 出雲署 「やるべきことはやりました。しかし、身元は分かりませんでした」

 そこで、田中さんは断片的な記憶をたどることにしました。8月中旬、大阪・ミナミを目指します。

自称 田中さん 「グリコの看板まで行ったんですけど、ここで20分くらいいたんですけど、特に何も思い出すこともないような状態だったので」

 さらに、大阪では思いもよらない事態に巻き込まれます。

自称 田中さん 「警察が来て持ち物を検査したら、ナイフが僕の持ち物から出てきてそのまま逮捕」

 銃刀法違反の疑いで逮捕されたのです。そのまま10日間勾留されます。

自称 田中さん 「全く僕に持っている認識がなくて。元々僕が持っていたカバンから出てきて、多分ずっと入っていた」

 現金60万円が入っていたカバンの中から身に覚えがないナイフまで見つかりました。

 田中さんは取り調べの中で記憶喪失の状況を説明。釈放され、福祉団体が身元を受け入れました。

 今、田中さんは飲食店でアルバイトをしながら大阪府内で暮らしています。 「自分のことを知っている人に出会いたい」という想いから髪型は目覚めた時のままです。

 そして今回取材を受けたのも、自らの記憶を見つけるためでした。

自称 田中さん 「当初考えたSNSで自分を発信していく方法が、電話番号を作らないとできない。でもその電話番号を作る方法が自分にはない。こういった八方ふさがりの状態。でも自分のことは知りたいということで、いいこと悪いことがメディアに出ることであるとは思う。自分のことを知っている人を探す方法に頼るのが一番だと」

 男性についての情報提供はNPO法人ぴあらいふで受け付けています。

情報提供先 NPO法人 ぴあらいふ 080−6664−7759


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