ブラジルの世界的CBに工夫重ねて応戦も…エースとしてのW杯に上田綺世「勝利に導かなければいけない」
FW上田綺世(フェイエノールト)
[6.29 W杯決勝T1回戦 日本 1-2 ブラジル ヒューストン]
試合終了の笛が鳴ると、日本代表FW上田綺世(フェイエノールト)はその場に座り込んだ。タオルで顔を覆い、しばらく立ち上がることができない。優勝候補ブラジルをあと一歩まで追い詰めながら届かなかった勝利。その悔しさを強く噛みしめていた。
北中米W杯決勝トーナメント1回戦。ブラジルのDFマルキーニョス(パリSG)とDFガブリエウ・マガリャンイス(アーセナル)といった世界屈指のCBコンビを相手に、前半は思うようにチャンスをつくることができなかった。
「前半はなかなか収まらなくて、自分の感覚と相手DFのスタイルにずれがあった。後半はいろいろなやり方を変えてみようと思って、その修正は効いたのかなと思う」 後半はボールの受け方を工夫し、徐々に前線で起点になれるようになった。後半19分にはボールを収めてペナルティーエリアへ侵入。右足を振り抜いた強烈なシュートはGKの正面を突き、惜しくもゴールとはならなかった。 日本は先制後、長い守備の時間を強いられた。それでも焦りはなかったという。「我慢の時間は絶対必要だと思っていた。焦れていってやられるのが一番良くない。チームメイトと声を掛け合いながらやっていた」 しかし、後半にブラジルが戦い方を変えると流れは一変する。「相手がフォーメーションだったり戦術的にもガラッと変えてきた。そこを対応できないまま1失点してしまった」。特にブラジルが徹底したクロス攻撃については、日本代表全体の課題として受け止めた。 「どんなにクオリティーがあるチームでも、シンプルにクロスを上げられるのが結局、日本代表として一番嫌。これは今後もずっとついてくる課題。どんなにレベルが上がっても、世界のトップトップが相手なら、より難しくなってくる」 それでも、この大会で上田が果たした役割は大きかった。カタールW杯ではターンオーバーで臨んだコスタリカ戦の前半45分間のみの出場。そこから個の力を磨くため23年にオランダの名門フェイエノールトへ移籍し、欧州で成長を重ねた。今季はエールディビジ得点王に輝き、2度目のワールドカップでは不動の1トップとして全4試合に先発。チュニジア戦では2ゴールを挙げ、エースとして日本を決勝トーナメントへ導いた。 だからこそ、ブラジル戦で結果を残せなかった悔しさは大きかった。「勝利に導かなければいけない。その点できょうはその仕事を全うできなかった」。ただ、4年前とは立場も責任も大きく変わった。 「自分自身のプレーのクオリティーもそうだし、終わった時の感情、大会前の感情もそう」 初めて「日本のエース」として戦い抜いたW杯で大きな自信と悔しさを残した。世界を相手に勝利を決定づける一撃を決めるストライカーへ。上田は再び歩み出す。 (取材・文 矢内由美子)●2026ワールドカップ(W杯)北中米大会特集●2026ワールドカップ(W杯)大会日程・テレビ放送▶日本代表の最新情報や取材裏話は『ゲキスタ』で配信中