バングラデシュ、野党BNPが地滑り的勝利 学生主導の抗議以降で初の総選挙

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画像説明, 投票するバングラデシュ民族主義党(BNP)の指導者、タリク・ラーマン氏(12日、ダッカ)

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ハシナ氏が率いていたアワミ連盟は今回、選挙への参加を禁じられた。

選挙管理委員会によると、BNPは定数300の議会で、204議席を確定させ、3分の2を支配した。

同国最大のイスラム主義政党であるイスラム協会(JI)は、76議席を確保している。

JIはかつてBNPの同盟相手だったが、現在は対立勢力となっている。これまで選挙参加を禁じられていたが、アワミ連盟が排除されたことで、今回の選挙ではBNP以外の唯一の大規模勢力となった。

AFP通信によると、JIは声明で、「選挙結果をめぐる手続きには満足していない」とし、開票作業を疑問視した。同時に、すべての人々に「冷静さを保つよう」呼びかけた。

一方、抗議デモを主導した学生指導者らが率いる新党「国民市民党(NCP)」は、存在感を示せず、数議席しか獲得できない見通し。

BBCのアザデフ・モシリ記者は、バングラデシュの若者層は、騒乱後にNCPに結集しなかったと説明。そのため、NCPはJIと選挙での協力を余儀なくされ、これがさらにNCP内部での分裂につながったと解説した。

今回の選挙では、暫定政権が策定した憲法改正案の是非を問う国民投票も行われた。

選挙管理委員会は、投票率は約60%だったと発表した。

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画像説明, 開票作業をする当局者ら(12日、ダッカ)

BNPの勝利は、ラーマン氏にとって大きな形勢逆転となる。

アワミ連盟は、15年間にわたる統治の中で、長年の政敵であるBNPやその他の反対勢力を徹底的に弾圧してきた。ラーマン氏は、欠席裁判で多数の有罪判決が出されたが、ハシナ氏の失脚後、すべての罪状について無罪となった。

2024年の前回選挙では、ラーマン氏はロンドンで事実上の亡命生活を送っており、BNPも選挙そのものを全面的にボイコットしていた。また、党員や支持者ら数千人が拘束されていた。

ラーマン氏の父であるジア・ウル・ラーマン氏は、バングラデシュ独立闘争の主要人物の一人だった。同氏は国家元首を務めたが、1981年に暗殺された。ラーマン氏の母のカレダ・ジア氏も3度首相を務めたが、ハシナ氏率いるアワミ連盟政権下でたびたび逮捕・収監された。

ジア氏は本来、この選挙に立候補する意向だったが、昨年12月、ラーマン氏がロンドンから帰国して数日後に死去した。

一方、BNPも政権を握っていた時期に政治暴力が問題になったことがある。

2001年に同党が主導した連立政権が始動した直後、経済改革や国内投資への期待は、暴力の発生によって急速にしぼんだ。

アワミ連盟の支持者や宗教的少数派、特にヒンドゥー教徒に対する攻撃が相次ぎ、選挙結果の発表直後から、殺人、略奪、性暴力などの犯罪が始まったと非難されている。

ラーマン氏は2007年に汚職で逮捕され、翌年にロンドンへとわたった。

ラーマン氏は今回の選挙で、「政治的立場、意見、宗教、カースト、部族にかかわらず、すべての人にとって安全なバングラデシュを築く」と約束している。

BNPの広報担当は12日夜、同党が政権を掌握した場合、「民主主義と表現の自由を絶対に保障する」とBBCに述べた。

国民は、今回の政権運営が過去と異なるかどうか注視することになる。同国では、経済の立て直しやインフレの抑制、雇用創出は容易ではないとみられている。

インド、パキスタンとの関係

インドのナレンドラ・モディ首相は、バングラデシュでの選挙の結果を受け、「インドは引き続き、民主的で進歩的かつ包摂的なバングラデシュを支持する」と述べた。

また、BNPの勝利は、バングラデシュ国民がラーマン氏の指導力を信頼していることの表れだと述べた。

そのうえで、「多面的な二国間関係を強化し、共通の開発目標を前進させるため、あなたと共に働けることを楽しみにしている」とXに記した。

パキスタンのアシフ・アリ・ザルダリ大統領は、BNPが「圧倒的多数」を確保したと称賛。パキスタンはバングラデシュの民主的な志向を支持すると述べ、新政府との間で貿易、防衛、文化交流の分野で協力を強化することに期待を示した。

同国のシャバズ・シャリフ首相も、BNPを「圧倒的勝利」に導いたとして、ラーマン氏を祝福した。

シャリフ氏はまた、「南アジアおよびその先の平和、安定、発展という共通の目標を前進させ、歴史的で兄弟関係にある多面的な二国間関係をさらに強化するため、新たなバングラデシュ指導部と緊密に協力することを楽しみにしている」とXに記した。

バングラデシュと、最大の隣国であるインドとの関係は、ハシナ氏がインドに逃亡して以来、緊張している。一方で、インドが宿敵とみなすパキスタンは、バングラデシュとの関係再構築を進めている。

BNPは歴史的に、ハシナ氏のアワミ連盟よりもパキスタンと近い関係を維持してきた。一方で、主要な貿易相手であり地域の大国でもあるインドを無視できないことも認識している。

BBCのアンバラサン・エシラジャン国際問題担当記者は、BNPは、周辺すべての国と友好的で建設的な関係を望むと表明しているが、現実には、インド、パキスタン両国との関係を両立させるため、綱渡りのような外交を強いられることになると指摘した。

憲法改正案の国民投票

今回の選挙では、暫定政権が策定した、84項目からなる憲法改正案の是非を問う国民投票も行われた。

この「7月憲章」は、バングラデシュの将来的な統治の枠組みを示したもので、行政権力の集中を抑え、抑制と均衡を強化し、近年の同国政治を特徴づけてきた一極支配を防ぐことを目的としている。

同憲章では、バングラデシュの諸機関の役割を明確にし、二院制(上院と下院)を持つ議会の創設を提案し、新政府が実施すべき改革を列挙している。

賛成票が多数となれば、新議会は憲章を完全に履行する法的義務を負うことになる。一方、反対票が多かった場合、改革はすべて多数党の判断に委ねられる。

同国国営BSS通信によると、13日朝の時点で賛成は約86万票、反対は約42万票となっている。

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