【レビュー】カシオ初の機械式腕時計「エディフィス EFK
カシオは、1974年に同社初の腕時計を発売して以来、これまでクォーツ時計にこだわってきた。51年間、同社の全ラインナップにおいて、腕時計を動かすムーブメントはすべて電池駆動(光発電の二次電池を含む)だった。しかし、ついに2025年、これに変化が現れた。同社初の機械式腕時計である「エディフィス EFK-100」が発売され、現在複数の国で販売されている。 【画像】カシオ初の機械式腕時計となるエディフィス EFK-100 その発売は、世界的にスマートウォッチの販売が減少している時期と重なった。スマートウォッチは10年間で急成長した後、飽和状態に達している。伝統的な腕時計製造会社にとって、これは小さな画面にうんざりしている顧客を取り戻す絶好の機会だ。カシオは機械式腕時計製造への第一歩となるエディフィス EFK-100で、この好機を捉えようとしている。 このカシオの新しい自動巻腕時計は直径39mmと適度な大きさで、5モデル中4モデルが、部位ごとにミラー(ポリッシュ)仕上げとヘアライン仕上げで磨き分けたステンレススチール製ケース/ブレスレット(バンド)を採用している。12.4mmという厚さは、手首に心地よく収まる。 ケースと一体型にデザインされたブレスレットは、ティソの「PRX」シリーズほど洗練されていないものの、約5万円という価格を考えれば欠点とは言えないレベルだ。ステンレスケースのモデルには、H型リンクのステンレス製ブレスレットが付属。内側のコマの斜面の部分はミラー仕上げになっている。ただし、工具を使わずに長さを微調整するマイクロアジャストメント機構やブレスレットを取り外せるクイックリリースは採用されていない。とは言え、価格を考えれば文句はない。
エディフィス EFK-100シリーズは、10気圧防水、ケース裏からムーブメントが見えるシースルーバック、角度のついたインナーベゼルで縁取られたフォージドカーボン(炭素繊維を樹脂で固め高温高圧で成形した複合素材)製のダイヤル(文字盤)またはフォージドカーボンの質感を電気鋳造で表現したカラーダイヤルといった特徴を備える。バーインデックスは文字盤から浮かんでいるように見え、先端に夜光が塗られ中抜き加工された時針・分針とよく調和している。6時位置にすっきりと収まる日付窓と視覚的バランスを揃えるように、上部には「EDIFICE」と「CASIO」のロゴが並ぶ。全体的に、この文字盤は秀逸な出来栄えだ。 ケースの内部には、セイコーインスツル(SII)製の「NH35A」を搭載。この機械式ムーブメントはパワーリザーブが約40時間、21600振動/時で、平均日差は-35秒~+45秒と発表されている。様々なブランドの腕時計に幅広く採用されている信頼性の高いムーブメントだ。 エディフィス EFK-100シリーズには、ステンレススチール製ケースにフォージドカーボン製の文字盤を備えたEFK-100CD-1Aや、フォージドカーボン風のカラーダイヤル(ブルー、グリーン、ホワイト)を採用することで価格を抑えた3種類のモデルのほか、ケースにもフォージドカーボンを使用し、ラバーストラップを組み合わせたEFK-100XPB-1A(米国では未発売)がラインナップされている。このプレミアムなモデルはインデックス、日付ディスク、針をブラック仕上げにすることで差別化が図られている。 日本でのメーカー希望小売価格は、カラーダイヤルのEFK-100CD-2A(ブルー)、EFK-100CD-3A(グリーン)、EFK-100CD-7A(ホワイト)が各4万9500円、フォージドカーボンダイヤルのEFK-100CD-1Aが5万5000円、そしてフォージドカーボンケースのEFK-100XPB-1Aが7万4800円(いずれも税込み)となっている。
Prakhar Khanna