「仕事が上々だからハッピー」か「ハッピーだから仕事が上々」か…大卒1300人の10年後調査で分かった意外な結果 お金と幸福度の納得の関係
幸福感が高い人と低い人とでは何が違うのか。心理学者の内藤誼人さんは「国内外の心理学調査によれば、その人の仕事のしかたやお金の使い方によってハッピー度の高低の差が出る」という――。
※本稿は、内藤誼人『やばい心理学』(総合法令出版)の一部を再編集したものです。
ハッピーになる曜日、ブルーになる曜日
日曜日の夕方くらいになると、「ああ、明日から仕事か、イヤだなあ」という気持ちになることがあります。そうして月曜日の朝になると、どうも気分が乗らないとか、やる気が出てこないという経験がある人もいるでしょう。“ブルーマンデー症候群”と呼ばれる現象です。
「ブルーマンデー」という言葉が一般的に使われるくらいですから、たいていの人は本当に月曜日には気分が落ち込んでしまうのでしょうか。それとも、そんなこともないのでしょうか。
カナダにあるブリティッシュ・コロンビア大学のジョン・ヘリウェルは、1年半もかけた大規模調査を行いました。のべ50万人を超える人たちから、曜日ごとに、幸福感、楽しみ、気分の高揚こうようなどのデータを集めたのです。
その結果、「ブルーマンデーなどというものは存在しない」ということがわかりました。平日はだいたいどの曜日も同じだったのです。月曜日に気分が乗らない人もいましたが、そういう人は、月曜日だけではなくて、火曜日も水曜日も気分が乗らない人でした。
一方でヘリウェルは、「日曜日になるとウキウキして、ハッピーな気分が高まる」という明確な事実があることを確認しました。
ブルーマンデーはありませんでしたが、日曜日の気分の高揚は確認できたわけです。ヘリウェルは、これを“ウィークエンド効果”と名付けています。
ただし、このウィークエンド効果にはいくつかのルールがあることもわかりました。組織で言うと、平社員のほうが重役や社長よりも2倍も気分の高揚は高かったのです。平社員のほうが、ウィークエンド効果の恩恵を受けやすかったのです。
どうしてそうなるのかというと、平社員に比べて、重役や社長は日曜日だからといって気を緩めることができないからです。
彼らはいつも非常に強い責任やプレッシャーを感じていて、日曜日でも気が休まらないのです。そう考えると、平社員のほうが社長よりも気がラクだと言えなくもありません。平社員は少なくとも1週間のうちで日曜日だけは幸福感が高まりますが、重役や社長は、日曜日にさえそんなに幸せな気分を感じることができないのです。
少し話はそれますが、ヘリウェルの調査では、人との交際(おしゃべりなど)を1週間に1.7時間ほど増やすと、幸福度が約2%高まることもわかりました。わずかな増加だと思われるかもしれませんが、少しでもハッピーな気分を高めたいのであれば、だれかとおしゃべりをするのが有効だということも覚えておくとよいでしょう。
写真=iStock.com/LeoPatrizi
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賢くお金を使いたいのであれば、「モノより思い出」というルールがあることを覚えておくとよいかもしれません。買い物をするのが楽しいという人もいるでしょうが、基本的に「モノ」にお金を使っても、人は幸せな気分になれません。
「なんだかつまらないものにお金を使っちゃったな」 「なんでこんな買い物をしちゃったんだろう」
そういう後悔が起きることもしばしば。ですから、「モノ」にお金を使うのは、賢明なお金の使い方とは言えないのです。
その点、形としては残りませんが、「経験や思い出になるもの」にお金を払うのは非常に賢いお金の使い方になります。
たとえば、自己成長のためにセミナーに出かけるとかスクールに通ったりするのは、良いアイデアです。あるいは旅行に出かけたりするのも良いでしょう。こういうところにお金を使うと、人はハッピーな気分になれます。
米国コロラド大学のリーフ・ファンボーベンは、電話帳でランダムに選んだ1279名の人にインタビューをお願いしました。お金を使うとして、どれくらいハッピーになれるのかを尋ねるインタビューです。
その結果、図表のような結果になりました。人は経験的に、「モノよりも何か経験できること」にお金を使ったほうが、自分がハッピーになれることを知っているのでしょう。
モノを買えば品物は残ります。経験や思い出にお金を使っても何も残りません。けれども、何か新しい経験をするとか、かけがえのない思い出が手に入れば、人はとてもハッピーな気分になれるのです。
高い洋服や車を買ったりするのは、ほどほどにして、体験にお金を使ったほうが賢いお金の使い方と言えるでしょう。