129億光年先の輝き。観測史上最も遠い星「エアレンデル」【今日の宇宙画像】
【SAPOD】今日の「宇宙画像」です。soraeが過去に紹介した特徴的な画像や、各国の宇宙機関が公開した魅力的な画像、宇宙天文ファンや専門家からお寄せいただいた画像を紹介しています。(文末に元記事へのリンクがあります)
【▲ エアレンデル(Earendel)周辺の注釈付き拡大図。エアレンデルの像は銀河団の重力が生じさせた時空の波紋(点線)によって拡大されており、近くにはエアレンデルと同じ銀河に属する星団の2つの像(mirrored star cluster)が、波紋を挟むようにして見えている(Credit: SCIENCE: NASA, ESA, Brian Welch (JHU), Dan Coe (STScI); IMAGE PROCESSING: NASA, ESA, Alyssa Pagan (STScI) )】
(引用元:sorae 宇宙へのポータルサイト)
地球から一番遠い星の話
2025年現在も「エアレンデル(Earendel)」は、観測史上もっとも遠い恒星としての記録を保っています。
研究チームがハッブル宇宙望遠鏡で取得した2016年のデータを解析し、2022年3月に発表した研究成果では、エアレンデルの赤方偏移が 6.2 であることが判明しました。つまり、この光が地球に届くまで約 129 億年(宇宙誕生から約9億年後)かかったことを意味しています。
また、研究チームは古英語で「明けの明星」を意味する「エアレンデル」と命名し、これまでの最遠記録保持星「イカロス(Icarus)」(※)を大きく更新しました。
※...赤方偏移は1.5、光が星を発したのは約94億年前
- Image Credit: NASA, ESA, B. Welch (JHU), D. Coe (STScI), A. Pagan (STScI)
- sorae - ハッブル宇宙望遠鏡、129億光年遠方の星「エアレンデル」を観測
その後、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が2023年に近赤外線カメラ(NIRCam)」で追加観測を実施した結果、エアレンデルは表面温度は1万3000〜1万6000℃のB型大質量星、質量は太陽の数十倍、光度は約100万倍以上と推定されました。
また、伴星を含む連星の可能性もあり、初期宇宙の星形成史を探る手がかりとしてさらなる解析が続いています。