【NASAが公開した「ギガンティックジェット」】ヒマラヤ上空で撮影に成功した、雷とは異なる稲妻の正体(スペースチャンネル)

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ギガンティックジェット 出典:NASA / Li Xuanhua

宇宙に向かって伸びる稲妻――。NASAが公開した1枚の画像が、世界中の科学者や天文ファンの注目を集めています。それは、中国とブータンのヒマラヤ山脈上空で観測された「ギガンティックジェット」と呼ばれる、雷とは異なる特殊な大気現象の姿でした。

■ギガンティックジェットとは何か? 雷とはどう違う?

ハワイで目撃されたギガンティックジェット 出典:International Gemini Observatory/NOIRLab/NSF/AURA/A. Smith

ギガンティックジェットとは、雷雲内で発生した電気エネルギーが大気上層部へと放電される現象です。通常の雷(雲と地上、または雲同士の放電)とは異なり、雷雲から地球の電離層(高度約90km)へと放電が向かうという非常に珍しい放電形態です。

NASAによれば、ギガンティックジェットは次のような特徴を持っています:

  • 下部は「ブルージェット(blue jet)」と似ており、雷雲の上部から始まる青白い放電
  • 上部は「レッドスプライト(red sprite)」に似ており、赤っぽく広がる上層大気への放電
  • 通常の雷よりもゆっくり上昇しながら、最終的には90kmの高さにまで達する

この現象が初めて本格的に観測されたのは2000年代以降であり、21世紀に入って初めて科学的に記録された大気現象でもあります。

■発生メカニズムはまだ謎が多い

ギガンティックジェット 出典:NASA / Hung-Hsi Chang

ギガンティックジェットの発生には、雷雲内部の電荷分布が関係しています。一般的な雷では、雲の中で正と負の電荷が衝突し、地上や他の雲に向かって放電しますが、ギガンティックジェットではこうした放電が雲内部で解消されずに上方へ逃れることがきっかけと考えられています。

具体的には:

  • 雷雲の中部にある負の電荷が、雲の上部にある正の電荷へと放電を開始
  • 途中で雲内に放電できず、電離層へと逃げる形で上昇
  • これが“宇宙に伸びる稲妻”の正体

とはいえ、この現象がなぜ起こるのか、どのような条件で発生するのかは未解明の部分が多く、現在も世界中の大気科学者によって研究が進められています。

■どこで見られるの?ギガンティックジェットの観測方法

ギガンティックジェット 出典:NASA / Phebe Pan

NASAによれば、ギガンティックジェットは以下の条件で観測されやすいとされています:

  • 強力な雷雲が発生しているとき
  • できるだけ遠くから、空が澄んで見晴らしのよい場所
  • 山岳地帯や広大な平野など、視界を遮るものがない場所

今回の画像が撮影されたヒマラヤ山脈は、そうした条件をすべて満たしていたため、稀有な観測に成功したと考えられています。皆さんはギガンティックジェットを目撃したことはありますか?ぜひコメントお待ちしています。

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