「星空」模様のインドのカエル、無秩序な写真撮影が脅威に 群れが丸ごと姿消す

星を散りばめたような体表が美しい、希少種の「ギャラクシーフロッグ」/Shivang Mehta/Moment RF/Getty Images

(CNN) 世界で最も美しい両生類の一つであるギャラクシーフロッグが、無秩序な撮影旅行によって脅威にさらされている。科学者たちがそう警告を発している。生息地の熱帯雨林から、一群が丸ごと姿を消したという。

まるで星を散りばめたような姿で知られるギャラクシーフロッグ(Melanobatrachus indicus)は、インドの西ガーツ山脈の常緑樹林でのみ見つかる。

絶滅危惧種に指定され、指先ほどの大きさしかないこの希少生物は、岩の下の湿った割れ目、落ち葉や朽ちかけた丸太の下といった生物多様性のホットスポットに隠れている。

しかし17日付のハペトロジー・ノーツ誌に発表された研究によると、科学者たちはギャラクシーフロッグが姿を消しつつあると警告している。

この研究によると、無秩序な撮影旅行が主な原因とみられる。撮影が引き起こす妨害や行動の変化が、カエルの摂食及び繁殖の成功を阻害する可能性があるという。

報告書によれば2020年初頭、ロンドン動物学会の研究者で、今回の研究を率いたラジクマール・K・P氏は、西ガーツ山脈の丸太の下に隠れていた7匹のギャラクシーフロッグの群れを発見した。

しかし、新型コロナウイルス感染症の制限による中断を経て再び調査を行ったところ、群れはその後姿を消していたことが判明。種の存続が深刻な懸念となっている。

インドの西ガーツ山脈の常緑樹林でのみ見つかるギャラクシーフロッグは、岩の下の割れ目や落ち葉、朽ち木の下などに隠れている/Shivang Mehta/Moment RF/Getty Images

研究者たちは19年からこの熱帯雨林の監視を開始し、国際自然保護連合(IUCN)によって絶滅危惧種に指定されている、この希少なカエルを追跡する取り組みを続けてきた。

20年3月までに、研究チームは朽ちた丸太と落ち葉の下に隠れていた7匹の群れを発見した。

しかし、続く2年間の夏の時期に、写真家のグループが現地へ押し寄せた。彼らは完璧なショットを求めて辺りを踏み荒らし、丸太を移動させたことが研究者たちの調査で明らかになった。

研究論文の中で、地元の観察者らは最大6人ほどの写真家グループが現場に降り立ったと報告。それぞれが見つけたギャラクシーフロッグを全て写真に収めようと躍起になっていたという。より見栄えのする背景を作るため、カエルを苔(こけ)や丸太の上に移すこともしばしばあったとされる。

カエルらが繰り返し触れられるのに耐える中、写真家らは高出力カメラフラッシュを1回の撮影につき約4時間使用し、現場を照らし続けた。

報告書によると、素手での接触や水分不足、そしてバイオセキュリティー対策の欠如により、カエルはストレスや熱、そして潜在的な病気に対して脆弱(ぜいじゃく)な状態にあった。

ある観察者は報告書に対し、長時間にわたる撮影中に小さなカエル2匹が死んだと語ったが、研究者らはこれを確認できなかった。

報告書は、自然写真と保護写真における倫理基準を確立し、インド国内の野生生物の保護環境を改善するよう強く求めている。

「この悲しい出来事は、無秩序な写真撮影がもたらす結果に対する厳しい警告に他ならない」「これらの美しくも希少なカエルは、この宇宙の小さな片隅に生息する他のカエルとは一線を画す存在だ。しかし慎重かつ責任ある管理がなければ、地球上から永久に姿を消してしまう恐れがある」(ラジクマール氏)

ラジクマール氏はさらに、「適切に行われさえすれば、写真撮影は動物の分布や行動といった分野における自然保護活動家の理解を深める上で大きな力となり得る。また撮影された写真は、これらの素晴らしい種について他の人々に知見を与える助けにもなる」と言い添えた。

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