FRB当局者、9月利下げに消極的 ジャクソンホール前に発言

年次経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長発言に注目が集まる中、21日に発言したFRBの3人の当局者は9月の利下げに消極的な姿勢を示した。2013年7月撮影(2025年 ロイター/Jonathan Ernst)

[ニューヨーク/ジャクソンホール(米ワイオミング州) 21日 ロイター] - 年次経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長発言に注目が集まる中、21日に発言したFRBの当局者は9月の利下げに消極的な姿勢を示した。

米クリーブランド地区連銀のハマック総裁は「ジャクソンホール会議」の合間にヤフー・ファイナンスのインタビューに応じ、足元の経済情勢を踏まえると、FRBが利下げに踏み出す時期ではないという認識を示した。「私はどの会合にもオープンな姿勢で臨んでいる」としつつも、「現在手元にあるデータや情報を踏まえると、もし会合が明日開かれれば、利下げの根拠は見いだせないだろう」と語った。

シカゴ地区連銀のグールズビー総裁はブルームバーグTVのインタビューで、来月の連邦公開市場委員会(FOMC)は決定内容が予測しにくい「ライブ」となり、金利政策が変更される可能性もあるとの見方を示したが、まちまちの経済指標とこのところの予想を上回るインフレ率を見ると、急いで利下げすることには慎重になると指摘。「直近のインフレ指標ではおそらく関税の影響ではないと思われるサービスインフレが上昇し始めており、これは危険なデータだ」と述べた。

一方、ボストン地区連銀のコリンズ総裁は米紙ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューで、他の当局者とは異なる見解を示し、雇用市場の課題を強調。次回のFOMCに向けて経済指標が「インフレ高進リスクと比較して労働市場の悪化リスクを示されれば、早期に金利引き下げを開始するのが適切かもしれない」と述べた。

投資家は、22日に予定されているパウエル議長の講演で、FRBが9月16─17日のFOMCで利下げを行うかどうかについて明確な手がかりが得られることを期待している。

金融市場は、FRBが9月会合で政策金利を0.25%ポイント引き下げるとみており、パウエル議長が実際にそのようなシグナルを送る可能性もある。7月の雇用統計が予想外に弱かったことに加え、5月と6月の雇用者数も大幅に下方修正されたことで、利下げへの期待が高まった。フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、FRBが9月に政策金利を0.25%引き下げる確率は70%と見込まれている。

ゴールドマン・サックスのアナリストらは、パウエル議長の22日の発言が「9月の利下げを決定的に示唆するものではないが、議長が利下げを支持する可能性が高いことを市場に明確にするはずだ」と述べた。

FRBの政策担当者にとっての課題は、労働市場の弱体化の兆候がある一方、インフレ率は中央銀行の目標である2%を上回っており、トランプ政権による輸入関税の引き上げでさらに上昇する可能性があるということだ。

ハマック氏は「私の最大の懸念は、過去4年間インフレ率が高すぎたこと、そして今まさにそれが間違った方向に進んでいることだ」と指摘。企業は関税関連の値上げを控えようとしているが、この傾向は長くは続かないだろうとの見方を示した。

FRBのウォラー理事ら一部のFRB政策担当者は、関税の影響は一時的なものにとどまるとしている。しかし、ハマック氏はインタビューで「理論と実践は全く異なる可能性がある」と指摘し、現時点での利下げに対する慎重な姿勢を強調した。

シュミッド氏も、インフレ率がFRBの目標を大きく上回っていることから、当局は今金利を引き下げれば国民の期待にどのような影響を与えるかを考慮する必要があると指摘した。「短期金利の引き下げがインフレ心理にどのような影響を与えるかについて慎重になるべきだと思う」と述べた。

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Covers the U.S. Federal Reserve, monetary policy and the economy, a graduate of the University of Maryland and Johns Hopkins University with previous experience as a foreign correspondent, economics reporter and on the local staff of the Washington Post.

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