米富裕層増税案、実現なら10年で約4000億ドルの歳入増-シンクタンク

Erik Wasson、Nancy Cook

  • 年間所得100万ドル以上に40%の税率を適用する共和党案を想定
  • 税制法案の議論でトランプ氏の公約の実現に寄与する可能性

米共和党の富裕層増税案が実現すれば、10年間で4000億ドル(約56兆3000億円)前後の歳入をもたらすとの試算を二つのシンクタンクが示した。同党が成立を目指す税制法案の一部コストを相殺する財源になる可能性がある。

  エール大学の超党派政策研究センターは、年間課税所得100万ドル以上の層に新たに40%の税率を適用した場合、10年間で4200億ドルの税収が見込めると推計。一方、独立税制調査機関タックス・ファウンデーションの政策分析ディレクター、ギャレット・ワトソン氏によれば、同シンクタンクは独自の予備的分析で同じ期間の税収を3580億ドルと推計している。

  両者の数字に若干開きがあるのは、経済成長などの想定が異なるためだ。いずれにせよ、この新たな歳入の見込みは接客業のチップ収入に対する課税の廃止など、トランプ大統領の一部選挙公約の実現に寄与する可能性もある。チップ課税廃止による歳入減は10年間で1180億ドルと推計される。

  来週再開する議会は最優先課題として、トランプ政権1期目に成立した減税の延長に向けた包括的税制法案の策定に着手する。

  残業代への課税廃止や、高齢者と自動車購入者への新たな税優遇措置なども議論される見込み。タックス・ファウンデーションによると、残業代への課税廃止は10年間で少なくとも6800億ドルの歳入減につながるという。

  トランプ氏は富裕層増税にオープンな姿勢を示しているが、共和党内には根強い反対の声もある。「増税反対」という長年の党是から外れることになるのが理由だ。

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原題:Millionaire Tax Would Generate About $400 Billion in Revenue(抜粋)

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