マスク氏に10年間で約1兆ドルの新報酬案-テスラ取締役会が提案

テスラは、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)に対し、総額約1兆ドル(約148兆円)に上る可能性のある、米国企業史上類を見ない巨額の報酬パッケージを提案した。

  提案は、マスク氏が今後数年にわたりテスラを率いるよう促すことを目的としている。報酬全額を得るためには、自動運転タクシー事業の拡大や、現在の約1兆ドルから少なくとも8.5兆ドルへの企業価値向上など、達成すべき野心的な目標が設定されている。

  5日に提出されたテスラの委任状関連書類によると、マスク氏の最新のCEO報酬額は878億ドルで、今後全業績目標を達成し、制限付き株式を全て取得した場合、約1兆ドルに膨れ上がる。報酬パッケージは10年にわたる。

  新パッケージ通りマスク氏が追加で同社の株式を受け取れば、マスク氏の持株比率は少なくとも25%に達する見込みだ。マスクは以前から、持ち分をこの規模に拡大したいと公言していた。

  テスラ株は5日の時間外取引で一時2%上昇した。年初来では16%下落している。

  新報酬パッケージは、テスラがロボット工学や人工知能など新規市場での成長を目指す中、巨額の金銭的利益と会社の支配権拡大をちらつかせることで、マスク氏を注力させる狙いがある。5日の提出書類には、マスクが以前言及した構想である、スタートアップ企業xAIへのテスラの出資を求める拘束力のない株主提案も含まれていた。

  多忙を極めるマスク氏は、テスラに対し今なお鉄の支配力を維持しているようだ。2008年からテスラCEOを務めるマスク氏は、スペースX、xAI、ニューラリンクボーリングの4社も統括する。5月のブルームバーグとのインタビューでは、5年後もテスラの舵取りを続けると語っていた。  

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  委任状には、マスク氏が業績報酬のラスト2回分のいずれかを獲得するには、取締役会が策定する長期CEO後継者計画の枠組み策定に参加しなければならないことも明記されている。

  テスラは、ロビン・デンホルム会長らの署名付きの株主向け書簡で、「端的に言えば、マスク氏を引き留めインセンティブを与えることが、テスラがこれらの目標を達成し、史上最も価値ある企業となるための基本だ」と強調した。

原題:Tesla Offers Unprecedented $1 Trillion Pay Package to Musk (1)(抜粋)

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