海外映画祭ですでに50冠突破。まだ劇場公開未定、異例の快進撃が続く日本のスパイ・アクションとは(水上賢治)

 世界各国の映画祭で現時点で50以上の賞を受賞!

 異例の快進撃を続けている日本のアクション映画がある。

 タイトルは「四十九 SeeK.1」。

 日本映画ながら、まだ日本国内での劇場公開も正式には決まっていない一作だ。

 同作は、現代に「忍び」が生き残っていたら?という設定のノンストップ・スパイ・アクション映画。

 現代の忍びで構成され、秘密裏のミッションを遂行する非政府組織「四十九(シーク)」の活躍を描く。

 手がけるのは、父にショー・コスギ、兄にケイン・コスギを持ち、アクションに精通するシェイン・コスギ。

 アクション俳優として日本はもとより世界で活躍してきた彼の記念すべき監督デビュー作となる。

 一方、主人公である「四十九(シーク)」屈指のエージェント、相沢京平を演じるのは俳優の浅野寛介。

 中国武術で10代のころ、全日本大会、世界大会で優勝した異色のキャリアを持ち、高い身体能力を誇る彼が、数々の壮絶アクションに挑んでいる。

 そして、異例の海外での大反響を受けて、このこともまた異例となるがすでに続編となるパート2の製作が決定。近くクランクインを迎えるという。

 世界の映画祭で受賞の相次ぐ本作はいかにして生まれたのか?海外で何が受けているのか?

 主演とともにプロデューサーも兼務している浅野寛介に訊く。全五回/第一回

「四十九 SeeK.1」で主演とプロデューサーを兼務する俳優の浅野寛介  筆者撮影

こんなに受賞を重ねるとは夢にも思っていませんでした

 はじめにここまでの流れに触れておくと、作品は昨年の10月に完成し、関係者に向けた初号試写を終えると、海外の映画祭へ。

 すると、インドのシネメイキング国際映画祭の入選を皮切りに、次々と海外映画祭にノミネート。

 ニューヨーク国際映画祭の12冠をはじめ受賞が相次ぎ、現在までその受賞数は50を超えているという。

 この快進撃をどう受けとめているだろうか?

「いまだに信じられない気持ちです。

 まさかこんなに受賞を重ねるとは夢にも思っていませんでした。

 受賞をした映画祭も、ドバイ、スペイン、フランス、インド、アメリカ、ベネズエラ、香港など、ほんとうにさまざま。

 地域限定ではなく、世界各国に届いているのがうれしいです。

 しかも、実は現時点で、受賞結果が出た映画祭は半分ぐらい。あと半分、結果待ちの映画祭が残っているんです。

 だから、まだ吉報が届くのではないかと楽しみに(結果を)待っているところがあります」

「四十九SeeK.1」より

監督のシェイン・コスギは30年近い付き合いのある旧友

 監督はシェイン・コスギが、浅野はプロデュースと主演を務めている。

 どのような経緯でタッグを組むことになったのだろうか?

「実は、シェインとは30年近い付き合いなんです。

 僕らの世代は多いですけど、僕はジャッキー・チェンの大ファンで。

 小さなころからカンフーの真似ごとみたいなことをしていて、いつからかジャッキーに憧れて、彼のようになれたらと思っていました。

 そんなとき、確かニュース番組だったと思うんですけど、アクション・スクールが開校されることを知りました。

 しかも、僕の住んでいる愛知県の名古屋に開校すると。

 それが、シェインのお父さんでアクション俳優のショー・コスギさんが開校した『ショー・コスギ塾』だったんです。

 このような俳優スクールは東京か大阪から始まるのがふつうじゃないですか。

 でも、詳細はわからないですけど東京にいい場所がみつからなかったみたいで、『ショー・コスギ塾』は名古屋から始まったんです。

 そして、僕は一期生としてその門を叩きました。1999年のことでした。

 で、何を隠そう、同校にスーパーバイザーとして赴任していたのがシェインでした。

 当時、シェインは日本語をほとんどしゃべれなかったんですけど、お父さんから直々に現地に住みながら指導しろと命令が下ったそうで、名古屋に居を構えることになった。

 そして、これはほんとうに偶然だったんですけど、僕が住んでいる家の大通りを挟んだ向かい側の家にシェインが住んでいたんです。

 だから自然と親しくなって、いつからか毎日のように一緒にいるようになり、ご飯も一緒に食べ、アクションの練習も一緒にする。

 仲良く遊ぶこともあれば、ケンカすることもある。そんな間柄になっていました。

 僕にとっては少し年上の兄貴といった存在でした。

 たとえばシェインは『筋肉番付』や『SUSUKE』への出演で多忙を極めていた時期がありましたけど、そのころも家に帰ってきたら一緒にゲームをして遊んたり、アクションの練習をしたりしていました。

 僕は2006年に俳優デビューを果たしましたけど、そのときもシェインは応援してくれました。

 そのまま関係は続いて行って、いまは『Kys STUDIO TOKYO (キーズスタジオ東京)』にて、映像を製作する事を一緒にやっています」

(※第二回に続く)

「四十九 SeeK.1」キービジュアル

「四十九 SeeK.1」

監督:シェイン・コスギ

出演:浅野寛介、ケイン・コスギ、三浦誠己、菜 葉 菜、弓削智久、小川未祐、

吉田美佳子、結城貴史、上村侑、石井靖見

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