スズキ、今期は22%の営業減益見込む 円高と原材料高響く

 5月12日、スズキは2026年3月期通期の連結営業利益が前年比22.2%減の5000億円になるとの見通しを発表した。写真はスズキのロゴで、2017年10月に都内で撮影(2025年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 12日 ロイター] - スズキ(7269.T), opens new tabの鈴木俊宏社長は12日の決算会見で、中国電気自動車(EV)最大手のBYD(比亜迪)(002594.SZ), opens new tabが軽乗用車の投入を表明したことについて、互いに切磋琢磨できるとして日本独自の規格である軽市場への参入を歓迎した。

鈴木社長は「軽とEVが非常に相性が良い」ことの表れで、「非常に嬉しい。BYDはしたたかな企業」と述べた。「価格競争力もしっかりと勉強しながら、軽の市場を守っていく」とも語った。

BYDの軽参入について、鈴木社長が公式の場で言及したのは初めて。

米関税や米中貿易摩擦については「グローバルな問題になる。景気後退をある程度、覚悟しないといけない」と指摘。主力市場のインドにも巡り巡って影響する、との認識を示した。

関税などによる影響額は、この日発表した2026年3月期の連結営業利益(国際会計基準)に400億円の減益要因として見積もった。スズキは米国では四輪を販売しておらず、二輪とマリンが直接的な影響を受ける。400億円のうち、約半分は二輪とマリンによる影響で、残る半分は四輪も含めた景気後退の影響や先行き不透明感などを織り込んだ。

BYDは4月下旬、26年後半に軽乗用車EVを発売すると発表。国内新車販売のうち軽は約4割を占めており、スズキは24年度の軽販売で2年連続首位だった。同社は今期中にトヨタ自動車(7203.T), opens new tab、ダイハツ工業と共同開発した軽商用車のEVを発売予定で、投入時期を明確にしていないが、軽乗用車のEVの試作車もすでに公開している。

一方、即時停戦に合意したインド・パキスタンの紛争の影響に関して、鈴木社長は「情勢が安定するまでにはまだ時間がかかる」とみており、情報収集を徹底して社員の安全第一で事業を行うと話した。

今期の連結営業利益は前年比22.2%減の5000億円となる見通し。円高や原材料価格の高騰が利益を圧迫する。IBESがまとめたアナリスト18人の営業利益予想の平均値6236億円を下回った。

これまで増益要因だった為替が一転、円高に振れる今期は減益要因となる。原材料高と併せ、営業利益を1150億円下押しする。賃上げを含む固定費1000億円なども押し下げる。

四輪世界販売は8万3000台増の見込み。インドは市場全体の伸び率1─2%を上回る販売増を計画。二輪はインドで販売増加を見込む一方、中国での減少などで前年並みの見通し。

年間配当予想は前年から4円引き上げ1株45円を予想。為替の想定レートは1ドル=140円(前年実績153円)、1インドルピー=1.68円(同1.82円)とした。

同時に発表した25年3月期の連結営業利益は前年比30.2%増の6428億円だった。

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