【太陽系外から飛来した隕石を史上初めて回収?】海へと落下した恒星間天体は特殊な物質構成の可能性(スペースチャンネル)
2014年、地球の大気圏にある隕石が突入しました。それは通常の隕石とは異なり、実は太陽系外から飛来してきたことが判明し、注目を集めることとなります。本記事では、その隕石の正体と、破片の回収に成功したと報じられた一連の詳細について解説していきます。
■隕石「CNEOS 2014-01-08」とは?
CNEOS 2014-01-08 の推定落下位置 出典:Abraham (Avi) Loeb and Frank H. Laukien「CNEOS 2014-01-08」は、2014年1月9日に地球の大気圏に突入し、秒速約60kmという非常に高速な火球として落下した隕石です。この隕石はパプアニューギニア沖の海へと落下しました。ハーバード大学の研究グループによると、その速度と軌道の分析により、この隕石は太陽を周回している天体ではなく、放物線を描く軌道であるということが推定されました。つまり、この隕石は太陽系の天体ではなく、太陽系外から飛来した「恒星間天体」である可能性が示唆されたのです。
隕石の軌道図 出典:NASAしかし、この軌道データはアメリカ国防総省が管轄する地球近傍天体研究センター(CNEOS)が出所であり、隕石の軌道を求める上で重要な測定精度は防衛上の問題で公表されていませんでした。このような背景から、隕石が飛来してきた起源については公式に発表されることはなく、長い間沈黙が続くこととなります。そして時は流れ2022年、アメリカ宇宙コマンドは、この隕石の速度データが正確であることを認め、これにより「CNEOS 2014-01-08」は太陽系外起源の可能性が濃厚であることが判明したのです。この発表を受け、科学界ではこの隕石が初の恒星間天体の観測例であるとして大きな関心を集める事態となりました。
■回収された隕石の破片と分析
夜空に光る典型的な流星の画像 出典:Navicore2023年、ハーバード大学の研究チームは、パプアニューギニア沖の海底で、この隕石の破片を回収することに成功したと発表します。気になる収集方法ですが、磁力を帯びた金属で海底に沈んだ破片を集めていったとのことで、直径が100~700マイクロメートルの球体のサンプルを50個以上発見したとのことです。
隕石の分析によると、地球やその他の太陽系内の惑星には見られない物質構成をしていることが発見されています。また、回収された破片のウランの含有割合が太陽系の物質とは異なる特徴を持っているとのことです。しかし、回収された破片が隕石由来のものであると断言できた訳ではなく、科学界では今回の分析結果に対して懐疑的な異論も出ていることに注意が必要です。
「CNEOS 2014-01-08」が本当に恒星間起源を持つとすれば、これは科学史上初めて確認された太陽系外の隕石となる大発見です。これは私たちの宇宙観や生命の起源に関する理解さえも大きく変える可能性を秘めており、今後の研究に関しても大きな注目を集めるでしょう。
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