実はかなり難易度が高い…モバイルバッテリーの「捨て時」の見極めと確実な「捨て方」【専門家が解説】(All About)

ですがリコール対象の製品でなくても、モバイルバッテリーは何らかの問題が生じることで発火する可能性のあるものだと知っておく必要があります。熱による発火もそうですが、落として衝撃を加えたり、使用し続けて内部が劣化したりすることでも発火の可能性が生じるものです。 そこで多くの人が気になるのは、発火を起こさないため、「モバイルバッテリーをいつ処分すべきか」ではないでしょうか。その判断材料は大きく3つあります。 ・リコールされている、本体が膨張している そもそもリコール対象となっているものや、劣化などによって内部に可燃性のガスが発生し、本体が膨らんでしまっている状態のものは、利用し続けること自体危険です。直ちに使用を止めて処分するか、回収に出してください。 ・購入時と比べ充電などの性能が落ちている では見た目上問題もなく、リコールもされていないモバイルバッテリーは、いつ処分すべきなのでしょうか。スマートフォンであればバッテリーの状態や最大容量を確認し、容量が80%を切ったら替え時という見極めができるのですが、多くのモバイルバッテリーは最大容量をチェックする機能自体備えていません。 そこでまず見極めるべきは、購入した時と比べ充電などが問題なくできているかどうかです。充電に時間がかかる、あるいは充電してもすぐ残量がなくなってしまう、使用中に熱を持ちやすくなった……などの変化が生じているなら、早めに処分すべきでしょう。 ・充電回数と使用年数によって判断する 見た目や使用上の問題がない場合は、充電回数を考慮して処分を判断するのがいいでしょう。一般的にリチウムイオン電池の容量が80%以下になるのは、0~100%まで充電し、再び0%になるまで使い切るという充電サイクルを300~500回繰り返した時が目安とされています。 それゆえ、仮に平日毎日使用していたとすれば、1年の充電サイクルは250回程度になるので、1~2年ほど経過したら処分した方がよいという計算になります。 もちろん充電回数は利用の仕方によって大きく変わってきますが、モバイルバッテリーはあくまで消耗品。長きにわたって利用し続けると発火リスクも高まるだけに、早めの処分を心掛けるべきです。


Page 2

ですが実は現在のところ、必ずしも全ての自治体で回収体制が整っているわけではないようです。 実際、環境省が2025年4月15日に通知した「市町村におけるリチウム蓄電池等の適正処理に関する方針と対策について」を確認すると、リチウム蓄電池などの分別回収を行っている市町村は、2023年度時点で全市区町村の75%にとどまっているそうで、全ての自治体で回収してくれるわけではありません。 それゆえ2025年8月の時点では、全てのモバイルバッテリーを確実に処分できる方法が「ない」というのが実情なのです。 今やリチウムイオン電池はスマートフォンやモバイルバッテリーだけでなく、非常に多くの製品に利用されていることから、容易に処分できない現状は早急に改善されるべきと筆者も思っていますが、現時点においては消費者が、モバイルバッテリーを購入する際に確実に捨てられる商品を強く意識して選ぶ以外に、発火を確実に防ぐ手段はないというのが正直なところです。

福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手掛けた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では行政からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手掛ける。書籍も多数出版。

佐野 正弘( 携帯電話・スマートフォンガイド)

All About
*******
****************************************************************************
*******
****************************************************************************

関連記事: