犯罪心理学者に聞く「嘱託殺人」の特異性 岐阜で連続して女性遺体発見、警察が監視していた男女の関係は
岐阜県本巣市で50代の女性が遺体で見つかり、嘱託殺人などの罪で起訴されている男らが、別の30代女性の死亡に関与した疑いのある一連の事件。 「嘱託殺人」の特異性などについて、犯罪心理に詳しい専門家に話を聞きました。 今年1月、岐阜県揖斐川町の山中で、女性が白骨化した状態で発見されました。 遺体は、行方不明届が出されていた岐阜県可児市の飲食店勤務の30代女性と判明。 警察は、何らかの事件に巻き込まれた可能性があるとして、今も捜査を続けています。 女性を知る男性は「トラブルは聞いたことがない」と話します。 「接客態度もよく仕事もまじめにやってくれる子だった。トラブルを抱えているとかお金に困っているとか、そんな様子は一切なかった」(女性を知る男性)
事件に関与したとして警察がマークしていたのが、別の事件いわゆる“第2の事件”で9月に起訴された岐阜市の立花浩二被告(55)と内縁の妻・神原美希被告(35)でした。 8月、本巣市の川岸で、愛知県常滑市の女性(当時53歳)の遺体が見つかり、警察は立花被告らを殺人容疑などで逮捕しました。 捜査関係者によると、警察は、今年春ごろから2人が住む自宅近くに監視カメラを複数台設置するなどし、行動を監視していたといいます。 「(監視カメラは2人の自宅から)30mくらい。(設置は2人が)引っ越してきた時期と同じくらいじゃないかな」(近所に住む人) そのような中で、本巣市の川岸で女性の遺体が発見されるという“第2の事件”が起きました。 その後、立花被告は、女性の依頼を受けてバッグの持ち手で首を絞めて殺害した嘱託殺人などの罪で起訴。 神原被告は、立花被告と共謀し、女性の遺体を遺棄した罪で起訴されました。
犯罪心理学の専門家、出口保行・東京未来大学副学長は、嘱託殺人をする人物の特徴や心理状況などについてこう語ります。 「基本的に、心理的に人を支配することに非常に強い快感を持っているタイプが多い」 「『殺害してほしい』ということを相手から言われる状況をつくっていく、半ばマインドコントロールをしていく。そういう状態に陥らせて相手から殺人を嘱託されるような状況をつくりだすというところ、それが一つ大きなポイントになっている」(出口さん) また被害者の状況などについて―。 「苦境から逃げ出すために何をしたらいいか分からない、迷路に入り込んでしまっている状態、そういう時に嘱託ということではあるが、自分の命を絶ってくれることに一縷の明かりを見いだすことがある」 「(対策として)社会のなかで孤立した人をつくらないようにする社会体制が大切」(出口さん)
また出口さんは、事件の全容を把握するには、被害者との関係性だけでなく、立花被告と神原被告の2人の関係性も重要なポイントだと指摘します。 「女性(神原被告)に対して自分の力を誇示するために、(立花被告が)こういった事件を起こしている場合もありますし、相手の女性(神原被告)を一緒にコントロールしてこの事件に関わらせていくことに強い快感をもっていることも考えられる。事件の容疑者として挙げられている2人の関係性というのも、今回の事件を読むうえで非常に重要なポイントになる」(出口さん)