コラム:オフショアリングやAI推進、トランプ氏のビザ規制に誤算の種
今回のトランプ大統領の命令に企業はどのように対応するか。主に2種類の方法が考えられる。1つは、米国外に業務を移転する「オフショアリング」を可能な限り進めることだ。政権がアウトソーシングの支払いに課税しようとしなければ、インド、フィリピン、メキシコがその恩恵を受ける可能性がある。企業がプロジェクトを円滑に遂行するためには、近くで連携し合える人材を最低限確保する必要があるが、特定の業務を行うのに人材がどこにいるべきかという議論は新型コロナ禍の時に崩れ、オフショアリングのうねりが起きた。
2つ目は、人工知能(AI)の積極的な導入だ。あるプロジェクトでH─1Bビザ保有者10人を使っていた場合、人員を5人にして、不足分をAIの最新技術で補えるか試みると予想される。これは、失業率を下げるために、理系の米国人の雇用を促すという政権の意図とは正反対の結果となる。
トランプ氏はこの数年、H─1Bビザを巡り、自身の技術顧問に肩入れしたかと思えば、米国第一主義のMAGA支持者の側につくなど、ぶれが見られた。今回の大統領令に多くの抜け穴がひそんでいる理由は、彼自身の不確実性にあるかもしれない。大統領は国土安全保障省長官に、国益に適うのであれば手数料を免除することを許可した。規制は延長されない限り、12カ月間しか適用されない。
とはいえ、重大な脅威はなお存在する。米国はこれまで常に国内と海外両方の人材に依存してきた。「反移民」措置が恒久的なものになれば、大きな代償を払うことになる。
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(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
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筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
Una Galani is Asia Editor of Reuters Breakingviews, based in Hong Kong, overseeing a team of columnists across the region. She was previously in London, Dubai and Mumbai. Breakingviews is the global financial commentary brand of Reuters delivering agenda-setting insight in real time on the most important events impacting global markets and companies.
Shritama Bose, India columnist, joined Breakingviews in November 2022. She covers the financial sector and related topics from Mumbai. She was earlier a reporter at Financial Express, a top business daily newspaper, tracking the Reserve Bank of India, lenders and fintech companies. She has a bachelor’s degree in English Literature and a postgraduate diploma in journalism.