脳が衰えない“スーパーエイジャー”の謎が判明、性格に共通点

脳が衰えない“スーパーエイジャー”の謎が判明、性格に共通点

脳はどこが違うのか、生活習慣の影響は? 25年の研究で見えてきた

2025.10.28

年齢を重ねても脳をさえた状態に保てるかどうかにかかわる要素が、新たな研究で明らかになってきた。(Photograph by Britt Erlanson, Getty Images)

 高齢になっても頭がさえた状態に保つにはどうしたらいいのだろうか。80歳を超えてもなお数十歳若い人と同じくらいの認知機能を持つ「スーパーエイジャー」がいるのはなぜなのか、その秘密が徐々に解き明かされつつある。

 2025年8月、米ノースウェスタン大学の研究者らが、過去25年間にわたって行われたスーパーエイジャー100人以上を対象とした調査と、スーパーエイジャー77人の死後の脳の分析から得られた知見について論文を発表した。

 この研究は、スーパーエイジャーたちの脳には多くの共通点があり、それらが認知機能を維持するうえで役立っている可能性があると推測している。

 また、生活習慣の違いがどの程度の差を生むのかはまだ解明すべき点が多いものの、スーパーエイジャーには共通して、ある性格の特徴が見られたという。(参考記事:「102歳、世界最高齢の現役医師が語る、長寿の秘訣のウソとホント」

 さらに、この研究成果は、スーパーエイジャーかどうかを見極める「明確な神経生物学的なサイン」を明らかにするうえでも役立っている。たとえば、80歳以上の人が、15個の単語を読み上げるのを聞かされ、30分後にそのうちの少なくとも9個を思い出せるなら、その人はスーパーエイジャーである可能性がある。

 将来的には、この研究は神経変性疾患の治療法の開発につながるかもしれない。

「アルツハイマー病の解明と予防のための創造的で新しい方法のひとつは、アルツハイマーにならない人たちを研究することです」と、研究に関わったノースウェスタン大学精神医学・行動科学准教授のタマー・ゲフェン氏は述べている。(参考記事:「脳を7.5歳若く保つ「マインド食」とは、認知症のリスクも半減」

次ページ:スーパーエイジャーに際立っていた性格と脳の特徴とは?

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