【米国株動向】量子コンピューティングとロボティクスで飛躍が期待される2銘柄
モトリーフール米国本社 – 2025年10月12日 投稿記事より
量子コンピューティングの先駆者:Dウェーブ・クオンタム[QBTS]とリゲッティ・コンピューティング・インク[RGTI]
生成AIブームがやや一巡しつつある中で、投資家たちは「次なるビッグテクノロジー」を探し始めています。その有力候補の1つとして、量子コンピューティングがあります。市場がこの長期的な成長分野に目を向け始める中、先行する企業の株価はこの数ヶ月間で急騰しています。
ファンダメンタルズ面で大きな課題があるものの、Dウェーブ・クオンタム[QBTS]とリゲッティ・コンピューティング・インク[RGTI]の株価が2026年以降も成長する可能性がある理由についてみていきましょう。
Dウェーブ・クオンタム[QBTS]:量子アニーリング技術を実用化した世界初の商用量子コンピュータ企業
Dウェーブ・クオンタムは、過去12ケ月(本稿執筆時点)で株価が3,700%以上上昇し、初期投資家の中から既に多くの億万長者を生み出しています。カリフォルニアに拠点を置く同社は、高度な量子アニーリング・デバイスの販売が拡大していることや楽観的な見方に支えられ、投資家たちの期待を集めています。
量子アニーリングは、問題を最も効率的に解く方法を見つけることに特化した量子力学の一分野です。これは汎用型量子コンピューティングとは異なりますが、物流のように「複数の地点を回りながら、総移動距離を最小化する」といった用途には理想的な技術といえます。このような問題は「巡回セールスマン問題」と呼ばれ、一見単純そうに見えても、実際には非常に難解で複雑な問題なのです。
Dウェーブ・クオンタムの2025年第2四半期売上高は前年同期比42%増加し、310万ドルとなりました。これは主に、同社の量子アニーリング・デバイスの販売拡大によるものです。同社は2025年初頭に、すでに自社の技術が実際の商業用途で活用されていると発表しました。具体的には、トルコでの自動車製造の効率化や、日本での創薬支援といった事例が挙げられます。
Dウェーブ・クオンタムは正しい方向に進んでいるものの、今後の道のりは長いと言えます。第2四半期の営業損失は2,650万ドルにも上り、黒字化はまだかなり先になりそうです。また、株価も割高な水準にあります。株価売上高倍率(PSレシオ)は336倍と非常に高く、長期投資を検討するには株価が一時的に下がる調整局面を待つ慎重さが必要でしょう。
リゲッティ・コンピューティング・インク[RGTI]:汎用量子コンピュータを開発するハードウエア企業
「満ち潮はすべての船を持ち上げる」ということわざがあるように、リゲッティ・コンピューティングも、量子コンピューティングに特化した銘柄として、急騰相場の波にのっています。同社の株価は過去12ヶ月で5,700%上昇し(本稿執筆時点)、S&P 500指数の平均リターン18%をはるかに上回りました。投資家たちは、同社の量子ハードウエアの販売拡大と魅力的な事業戦略に期待を寄せています。
2025年9月下旬、リゲッティは量子コンピューティングシステムを2基受注したと発表しました。総額は570万ドルで、納品は2026年上半期を予定しています。同社はこの分野の技術を試したい研究機関の間で急速に知名度を高めています。
リゲッティは量子技術そのものを直接収益化するのではなく、他社が消費者向けプラットフォームを開発するために必要なハードウエア(半導体やプロセッサー)を提供するという戦略をとっています。これは、現在の生成AI業界におけるエヌビディア[NVDA]が果たしている役割に類似しています。このような「つるはしとシャベル型」事業モデルは、ゴールドラッシュの時代に鉱山労働者に道具を売って利益を上げたように、急成長しているものの将来が非常に不確実な分野にリスクを抑えながら参入できるという利点があります。
リゲッティは、急速に独自の地位を築きつつあるものの、依然として非常に投機的な銘柄でもあります。具体的には、第2四半期の売上高は前年同期比42%減少し、180万ドルにとどまっており、1,990万ドルの営業損失を計上し、黒字化の見通しは全く見えていません。そのため、投資家が長期投資を検討する場合も、短期的な調整を待つ姿勢が求められるでしょう。
量子コンピューティングはまだ「夢の市場」
Dウェーブ・クオンタムとリゲッティ・コンピューティングの株価は、量子コンピューティングが商業的に実用化へ近づくにつれ、大きく飛躍する可能性を秘めています。しかし、このテクノロジーが本格的に普及する時期がいつになるのか、あるいは本当に実現するのかは現時点で未知数です。実用化まで数年、あるいは数十年を要する可能性もあります。その一方で、両社は売上高が小さく、引き続き深刻な資金の枯渇(キャッシュ・バーン)と過大なバリュエーションという課題を抱えています。
両社とも、量子コンピューティング業界において魅力的な銘柄ではありますが、投資家は不安定なパフォーマンスや極端なボラティリティーを理解する必要があります。これらの2銘柄は非常に投機的な株式であり、幅広く分散されたポートフォリオの中で少額のポジションとして保有するのが適切でしょう。
免責事項と開示事項 記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Will Ebiefungは記載されたどの銘柄の株式も保有していません。モトリーフール米国本社はエヌビディアの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は、情報開示方針を定めています。