仕事がデキる営業マンの「トークの秘訣」がわかった…三井不動産の「新しいAI部隊」が導き出した"勝ち筋"(プレジデントオンライン)

AIを活用してビジネスを成功させるにはどうすればいいのか。日本工業大学大学院技術経営研究科の田中道昭教授は「三井不動産は日本で最もDX(デジタルトランスフォーメーション)に成功している企業のひとつだ」という。三井不動産の塩谷義・DX四部長を取材した――。(第1回/全2回) 【写真】三井不動産のスゴイAI(実際の画面) ■三井不動産に設置された「新組織」とは  【第I章】生成AIの光と闇を超えて  生成AIの「光」と「闇」が、かつてなく顕著になっている。光は、生産性の爆発的向上、創造性の拡張、知の共有。AIは人類の知的能力を補い、社会を効率化する最強のパートナーになった。だがその光が強まるほど、闇――依存、格差、思考の退化、倫理の空洞化――もまた濃くなっている。  AIが進化するほど、人間は“考えなくてもよい社会”に向かう。効率が高まるほど、仕事や人生の「意味」が薄れていく。それが、私たちが生きる時代の構造的矛盾――「生成AIの逆説」である。  AIを拒めば取り残され、盲信すれば空洞化する。ではどうすれば、この逆説を超えられるのか。答えは、AIを“導入するか否か”ではなく、光と闇をどう設計し、どう統合するかという構造デザインにある。  この課題に経営として向き合っているのが、三井不動産だ。2025年4月にAIおよびデータ活用をより一層推進することを目的に新設された「DX四部」は、AIを単なる効率化の道具ではなく、人と組織の在り方を更新する“構造変革装置”として扱う。 ■AIを「使う」から「共に考える」へ  塩谷義・DX四部長は言う。  「AIは人を超えるための技術ではありません。AIと人がどう共に考え、共に成長できるか。それを設計できる企業こそが、次の社会を創ります」  この言葉に象徴されるように、筆者が「三井不動産の生成AI戦略2.0」であると分析した戦略は、「AIを使う」から「AIと共に考える」経営への進化である。AIを恐れず、依存せず、共に思考する。AIを人の外側に置くのではなく、人間の内面にまで統合する思想がここにある。  AIは道具ではなく、問いを拡張する鏡である。だからこそ、リーダーに求められるのは「AIで正解を出す力」ではなく、「AIと共に問い続ける力」だ。  三井不動産が描くのは、AIが社会を動かす企業ではなく、AIと共に社会を賢くする企業。AIの光(創造・効率)を最大化し、闇(依存・退化)を最小化する構造を設計する。それが、DX四部が進める生成AI戦略2.0=人間中心のAI経営の思想的起点である。  この思想が次章で詳しく解き明かす、三井不動産の「三位一体のAI経営OS」――市民開発・エージェント・データ民主化という構造設計へとつながっていく。

プレジデントオンライン
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