天王星の新衛星「S/2025 U 1」を発見 JWSTによる初の惑星の衛星の発見に
「天王星」は太陽から遠い場所を公転しており、詳細な観測は困難です。探査機による接近観測も一度しか行われていないため、まだ多くの謎が眠っていると考えられています。 天王星に1個、海王星に2個の新しい衛星を発見! 天王星は20年ぶり サウスウエスト研究所(SwRI)のMaryame El Moutamid氏などの観測チームは、「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)」を使用した観測により、新たに観測された暗い環と共に、通算29個目となる新しい衛星を発見したと報告しました。 暫定的に「S/2025 U 1」と名付けられた新衛星の推定直径は8~10kmと、天王星の内側の衛星としては最も小さいと見られます。S/2025 U 1の発見は、天王星の内側がこれまで認識されていた以上に混沌としており、さらに多くの未発見の衛星が眠っていること、環と衛星の境界があいまいになりつつあることを示唆しています。 今回の発見はまだ査読プロセスを経ていませんが、天文電報中央局(CBAT)の電子電報に発見報告が掲載されており、2025年9月に開催される国際学会で詳細な成果が発表される予定です。
太陽系第7惑星「天王星」は、太陽から約29億km離れたところを公転している、地球から見ても遠く離れた惑星です。あまりにも遠くにあるため、惑星であると認識されたのは1781年と “最近” であり、現在でも詳細な観測は困難です。 例えば、探査機による天王星の接近探査はたった一度、1986年にアメリカ航空宇宙局(NASA)の「ボイジャー2号」のみが達成しています。それも重力圏に捉えられることなく、すれ違いざまに写真撮影を行った形であるため、観測データには限りがあります。 ボイジャー2号による観測以降、ハッブル宇宙望遠鏡やすばる望遠鏡のような高性能な望遠鏡が、天王星の詳細な観測を行っています。この観測により、ボイジャー2号が見逃していた暗い衛星が次々に発見されました。 しかし、暗い衛星を撮影しようとすれば、多くの露光時間を取らないといけません。この時、天王星や大きな衛星が視野に入っていれば、それらの天体からの光が強すぎるため、暗い衛星からの光がかき消えてしまいます。 このような困難はあるものの、工夫を凝らせば新しい衛星を発見することは不可能ではありません。例えば2024年2月には、天王星の新しい衛星「S/2023 U 1」の発見が報告されています。天王星で新衛星が発見されたのは、当時で実に20年ぶりの報告となっていました。