NHK解説者が指摘「佐々木は“昭和のフォーム”なんだよ」苦しむドジャース佐々木朗希に意外な助言「制球難の原因は“足の高さ”」「セットポジションを提言」(Number Web)|dメニューニュース

NHK解説者が指摘「佐々木は“昭和のフォーム”なんだよ」苦しむドジャース佐々木朗希に意外な助言「制球難の原因は“足の高さ”」「セットポジションを提言」 photograph by AFLO

357日ぶりのメジャーでの白星――。ドジャース・佐々木朗希が4月25日のカブス戦で、昨年5月3日のブレーブス戦以来ようやく手にした今季初勝利は、5回4失点(3被弾)だった。 今季はここまで7度先発で登板し、1勝3敗、防御率5.88。現地メディアからは依然として厳しい声もある。では、NHK野球解説者の武田一浩氏は今季の佐々木朗希をどう見ているのか? 初勝利したカブス戦の投球から分析してもらった。【全3回の佐々木朗希編/中日編、ヤクルト編に続く】

 まず武田氏が評価したのは、ストレートの質の向上だ。

「まっすぐで空振りが取れるようになってきた。打者を差し込む場面も増えた。オープン戦のときと比べたら、ボールの質は断然いい。本人も手応えを感じているはずだよ」

 にもかかわらず、カブス戦は5回4失点。この「内容と結果のズレ」はどこから生まれるのか。

「もちろん、今のカブス打線が好調だというのもある。でも、最大の問題は変化球。特にスプリットやスライダーを投げるときの腕の振りが、ストレートのときと明らかに違って少し緩むんだよ。メジャーのレベルの打者は、そのわずかな違いを見逃してくれない。だから、いいところに投げても振ってもらえなかったり、逆に甘く入ったところを痛打されたりしてしまう」

 ボールそのものの質ではなく、投球全体のコンビネーション、特にストレートと同じ腕の振りで変化球を投げられるかどうかが、今後の鍵を握ると武田氏は指摘する。

「あれは“昭和のフォーム”なんだよ」

「今のフォームではコントロールが良くなるとは思えない」

 そしてもう一つ、武田氏が根本的な課題として挙げたのが、佐々木の代名詞でもあるダイナミックな投球フォームだ。高く足を上げるあのフォームが、安定した投球を妨げている可能性があるという。

「あのフォームは、どうしても体の上下左右のブレが大きくなる。毎回寸分違わず同じフォームで投げられればいいけど、体幹や足腰がよほど強くないと、あの足の上げ方ではリリースポイントが安定しない。だからコントロールがなかなか良くならないんだとオレは見ている」

 佐々木のフォームは、近年のメジャーリーグのトレンドとも逆行している。大谷翔平や山本由伸をはじめ、多くのトップ投手は、むしろ動きをコンパクトにし、セットポジションからでも最大の出力を出すフォームを追求している。

「オレから見れば、彼のフォームは“昭和のフォーム”なんだよ。反動を大きく使って投げるスタイル。でも、今の主流は違う。だから、オレはずっと思ってるんだけど、セットポジションで投げればいいんじゃないかな、と。その方が体のブレも少なくなるし、腕の振りにも集中できる。結果的に、球速もコントロールも上がる可能性がある。もちろん慣れは必要だけどね」

 この提言には武田氏自身の経験も反映されている。

「オレも現役時代、しっくりこないシーズンは1年間ずっとセットポジションで投げたことがある。その方が絶対にコントロールは良くなるんだよね。一度、試してみる価値はあるんじゃないかな」

「自信がなさそう」「一人で寂しそうにしている」

 技術的な課題以上に、武田氏が懸念しているのが佐々木の「表情」だ。

「とにかく自信がなさそうに見えるんだよ。ベンチにいても、どこか一人で寂しそうにしている。もっと堂々と打者を見下ろして投げればいいんだよ。悲壮感を漂わせる必要なんてないよ」

 勝てない焦り、周囲からのプレッシャー、異国の地での孤独感。様々なものが、20代前半の若者の肩に重くのしかかっているのかもしれない。

「ロバーツ監督が試合中に彼に話しかけてたけど、ああいうコミュニケーションも大事。言葉の壁もあるだろうけど、もっと明るく振る舞ってほしいよね」

「リリーフ転向は絶対にない」

 ではなぜ、防御率5点台という苦しい投球が続く佐々木を、ドジャースは先発ローテーションの一角として起用し続けるのか。チームは昨年苦しんだクローザー問題を解決すべく、エドウィン・ディアスを獲得した。しかしその絶対的守護神は、開幕わずか1カ月で故障離脱。そんな緊急事態に見舞われるなかで、昨年のように佐々木をブルペンに回すべきだという声も一部では上がっている。だが、武田氏はその可能性をきっぱりと否定する。

「リリーフ転向は絶対にないですよ。ドジャースは完全に“育成モード”に入っているから。普通なら、佐々木はとっくにローテーションから外されていてもおかしくない成績。だけど、首脳陣は彼の将来性に賭けている。ブルペンに入れて目先の勝利を優先させるのではなく、あくまで先発投手としてメジャーの打者と対峙する経験を積ませることに、こだわっている。まさに“特別待遇”と言っていいだろうね」

 目先の1勝や1セーブよりも、佐々木朗希という才能の2年後、さらには5年後を見据えた長期的なプランだ。

「佐々木はいいチームに入ったと思うよ。他のチームだったら、こんなに我慢して使ってもらえなかったかもしれない。今年1年というシーズンは、彼にとってメジャーで1年間ローテーションを回るための“テストシーズン”だ。その中で、彼自身がどれだけ課題を克服し、成長できるか。勝敗以上に、そのプロセスが問われているよ」

 その期待に佐々木朗希は応えられるだろうか。

<中日編、ヤクルト編から続く>

文=遠藤修哉

photograph by AFLO

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