珍しくミス連発……散々だったピアストリをマクラーレン代表擁護「シューマッハーでさえ、こういう経験をする週末がある」
マクラーレンのアンドレ・ステラ代表は、F1アゼルバイジャンGPでクラッシュしたオスカー・ピアストリについて、タイトル争いのプレッシャーを感じていることを否定し、ミハエル・シューマッハーでさえ散々な週末を過ごしたことがあると主張した。
ポイントリーダーのピアストリは、チームメイトでありタイトル争いのライバルであるランド・ノリスに25ポイント差をつけている。この差は、彼にとって悲惨な週末となったアゼルバイジャンGPまで31ポイントだった。
今季がF1参戦3年目のピアストリはこれまで、若手らしからぬ落ち着きぶりでパフォーマンスを発揮してきたが、アゼルバイジャンGPはその例外となった。
金曜日のフリー走行ではターン15でウォールに接触した。これがピアストリにとって混乱した週末の始まりとなった。土曜日の予選ではブレーキングミスでターン3の壁に激突し、9番グリッドからのスタートになってしまった。
そして決勝レースでは、挽回しようと気が急いたか、スタートライトが消える前にマシンが動いてしまった。慌てて再びスタートを切ろうとしたところでマシンはアンチストールに入ってしまい、一気にポジションを落としてしまった。そしてターン4でロックアップしてしまい、バリアに突っ込みオープニングラップを終えることなくリタイアとなった。
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Photo by: Rudy Carezzevoli / Getty Images
しかしステラ代表はバクーを去る際、ピアストリについて全く心配していなかった。フェラーリのエンジニアとしてミハエル・シューマッハー、キミ・ライコネン、フェルナンド・アロンソといったF1の偉大なドライバーたちと仕事をしてきた経験から、彼らでさえ悪夢のような週末を経験することを知っていたからだ。
「私は複数回のチャンピオンを獲得したドライバーたちと仕事をしてきたが、最も圧倒的なシーズンでさえ、F1史上最高のドライバーのひとりであるミハエル・シューマッハーでさえ、このような事態を経験することを目にしてきた」
「最も重要なのは学びだ。何らかの理由で状況が困難になり、グリップを誤って判断した瞬間に、厳しい代償を払うことになるからだ」
「今シーズン最も安定したドライバーにとっての単発的な出来事だ。物事が思うようにいかず、最終的に敗北を喫する週末が一度あるのは驚くべきことでも例外でもない。我々が心配すべきことでもない。なぜなら、これはほぼ全てのチャンピオンに起こってきたことだからだ。最高の実績を持つ者たちでさえもね」
ピアストリが重要な局面で驚くほど冷静沈着なドライバーだったことを考えると、彼が今回これほどミスを続けたことに多くの人が驚いた。
アゼルバイジャンGPまで、彼にとって唯一の失態は、開幕戦オーストラリアGPで雨が降り始めたところでスピンし、2番手から9位に後退したことくらいだろう。
プレッシャーのかかる局面で冷静さを保つピアストリの能力こそが、ノリスに対する優位性をもたらしていると言える。7勝5ポールポジションという成績は、ノリスの5勝4ポールを大きく上回る。
「オスカーに見られたこれらのミスは、明らかに彼の特徴ではない」とステラは付け加えた。
「オスカーは2025年シーズンにおいて、これまで最も安定したドライバーだったと思う。私の見た限りでは、複数回のチャンピオン経験を持つドライバーでさえ、時には学びに専念する週末があるものだ」
「オスカーは今週末、本人の意思とは裏腹に、いくつかの学習機会に集中せざるを得なかった。スタートのミスは、単に熱意が過剰だっただけだろう。この問題は既に認識済みであり、今後繰り返されることはないだろう」
「ロックアップに関しては、昨日(土曜日)と同様に、グリップのレベルを誤って判断しただけだ。おそらく、スロースタートとフライングが重なったのだろう。わからないが、それは本質的には関係ない」
「しかしオスカーの強みのひとつは、驚くべき学習速度と成長力、そしてより強くなって戻ってくる力だ」
「だからこそ彼はあらゆるカテゴリーで成功を収めてきたのだ。そしてF1キャリアでもまさに同じことが起きると確信している。今シーズン残りのレースでもその姿が見られるだろう」
しかし、グランプリ9勝を誇るファン・パブロ・モントーヤは異なる見解を示す。ピアストリが最終戦に向けて態度を変えるだろうと予測し、バクー戦前のイタリアGPでの会話を振り返った。
「我々はオスカーの新たな一面を目撃し始めている。彼自身も気づいていないだろう」と彼はF1 TVに語った。
「彼はモンツァで『現状は安定しているが、アプローチは変えない』と宣言した」
「私はモンツァでこう言ったんだ。『それを好むかどうかは別として、精神的にはアプローチを変えることになる。なぜなら自分自身を疑い始めるからだ』とね」
「一方では『必要ないから十分にプッシュしていない』と思い、次に『自分は十分にプッシュしている』と自分に証明しようとして、結局クルマをウォールに突っ込ませてしまうんだ」
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