【解説】物価高騰で厳しい現実…『繰り上げ』『繰り下げ』年金受給の年齢は?受給額はどうかわる?(読売テレビ)

 きょう(15日)は、2か月に一度の年金支給日です。働く高齢者は増えていますが、いまも約10人に1人が国民年金を前倒しで受給しています。 物価高騰で苦しい生活が続く中、「年金をいつからもらうのか」、多くの人が不安を感じています。  伊藤正広さん、74歳。仕事を辞めた後、65歳ごろから、厚生年金を受給し、大阪市内のアパートで暮らしています。

 伊藤さん  「思い出やから、あんまり売りたくないんですけどね」  そう言って、部屋から取り出したのは、ビンテージの衣類。若いころに趣味で集めたものを売り、お金にしているといいます。  (Q:そのベストなども売る予定?)  伊藤さん  「そうそうそう。これからほら季節がね。高値で売るつもりやから。安くは売りたくないからね。何十万とかそんなんじゃないんだけどね」  (Q:思い出が詰まっているということでしたが、どうして売ろうと思っている?)  「やっぱりお金ですよ。生活費にいるもんね」  (Q:思い出の品がお金に変わるのは?)  「いや、それは寂しいですよ。でも、好きな人が、着るんやったら」  年金のほとんどが、月々の家賃や光熱費などですぐに”消えてしまう”という伊藤さん。  伊藤さん  「住むだけで(家賃や光熱費を足して)7万から8万ですよ」  (Q:1か月にそれぐらいかかる?)  「そうそうそう。食べるのもね、食べないわけにいかんからね」  厳しい現実に直面する高齢者の年金生活。

 大阪市内のハローワークです。この日は、再就職や転職を考えるシニア世代に向けたセミナーが行われていました。  ハローワークプラザ難波 ・高野賢一さん  「最近では、80歳を超える方もお仕事を希望して来所される。最近の物価上昇で、年金だけではしんどいので」  物価高の中、年金だけでは、生活が苦しいという声は多く・・・  参加者(64)  「年金も実は、もうもらっているんですけど、少なくてとてもてそれだけじゃ生活できない」  (Q:いつ頃からもらい始めた?)  「繰り上げで、60過ぎにすぐ手続きした。ちょっと少なくなるんですけども。はよ欲しかった。いつ死ぬかもわからんし」  (Q:年金はまだ受け取ってない?)  参加者(60)  「65から(の予定)なんですけど、違う個人年金も65歳からあるので、その辺のバランスを考えながら、生活しているという感じです」  将来の暮らしを支える年金。ただ、これからもらう世代からは、様々な不安の声が。  30代男性  「払った分が戻ってこないとか、もらえる額がだんだん減るというのは聞くので、気になりますね」  50代女性  「65歳から夫婦でもらおうと思っているんですけど、どこでもらうのが一番いいのかわからないし、いくつまで生きれるのかというのもわからないし」  特に多く聞かれたギモン。それが…


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 まず、65歳で受給をスタートした場合は、このように(赤色)なります。  では、60歳で早めて受給した場合どうなるのか見ていきましょう(紫色)。60歳で早く受給した場合は、80歳10か月で65歳の総額を下回ることになるということです。  70歳まで年金の受給開始を遅らせた場合どうなるのか、こちらもグラフで見ていきましょう。こちら緑の線のところです。70歳で受給開始を遅くした場合、81歳11か月で65歳の総額を上回るということです。  75歳まで遅らせた場合どうなるのか、こちらもグラフで見ていきましょう。黄色のグラフです。こうなってくると、86歳11か月で65歳にスタートした場合と比べて総額を上回るということなのです。  皆さんのライフスタイルによっても、いつから受給するのがご自身の選択にとっていいのかというのが、いろいろ変わってくるかと思いますので、こちらでご覧ください。

 まず、早く受給をする場合は、こんな方におすすめです。健康に不安がある方だったり、医療費や生活費に回したいなという方は、早く受給するのがいいんじゃないかということです。ただ一度、早く受給する手続きをすると、この請求を取り下げられないという注意があるということです。  逆に、遅い年齢で少し年齢を重ねてから受給をする場合というのは、長くまだお仕事を続けていらっしゃる方ですとか、受給額が少ない方におすすめなのだそうです。ただ、早く亡くなってしまうと、受給総額が減るということで、なかなかこちら難しい問題だなと思います。  さらに・・・

 「こんな時に要注意」というのは、例えば家族構成の変化で、受給額に影響があるという点です。配偶者の方が、早く亡くなられたりですとか、65歳であっても、お子さんをまだ扶養されていたりですとか、そういった家族構成によっても受給額に影響が出てくるということです。  また遅く受給する、例えば75歳で受給した場合でも、働いた収入が多い方というのは、課税対象を超えてしまうような方になってくると、「税金や社会保険の負担が増えてしまう」というようなケースもあるということなので、50歳以上の方は、年金事務所に相談可能ということですので、いろいろご自身のライフプランを含めて、相談されるのがいいかと思います。


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 『いつから受給するのがいい?』  年金は原則65歳からですが、早く受け取りたいという人は減額になるものの、60歳に「繰り上げ」て受給が可能で、逆に、遅らせてもいいという人は75歳まで「繰り下げ」て、増額させることが可能です。  すでに年金を受給しているシニア世代に話を聞くと…  受給「繰り下げ」している 80代女性  「(受給開始は)70ですね。お父さんが早くからもらってるから、ちょっと置いておこうと思って。増やしたらいいかなと」  65歳から受給している 70代女性  「もしかして90まで生きるかもしれない。(でも)生きないかもしれない。元気なうちに基準でもらっておきたい。退職と同時に(65歳で)。安心なのでね」  受給「繰り上げ」している 60代男性  「63ぐらいから。うちの妻が、あんたいつ死ぬかわからない。もらえるんやったら早くもらったほうがいいと言って。そうか言って」  家庭環境や生活スタイルに合わせ、各々のタイミングで受給を始めていました。  一方で、そう甘くない年金生活の実態も・・・  70代女性  「(年金生活は)しんどいです」  (Q:なにがしんどいですか?)  「やっぱり食費かな」  80代・90代夫婦  「やっていかれへんのちゃうかな。年金だけやったら。きついねえ。ほんまここ何年ってお洋服なんか買ったことないわ」  「年金だけでは食べられません」  老後の支え「年金」

 (黒木千晶 キャスター)  年金を、いつから受給を始めるかというのは、非常に皆さん悩まれるところだと思うのですけれども、年齢ごとに見ていきたいと思います。  まず、国民年金なんですけれども65歳から開始した場合、月々6万9308円ということです。  では、60歳に年金もらうのに早めた場合どうなるかといいますと、24%減りまして月々5万2674円ということになります。  では、逆に年金をもらえる年齢を遅くした場合どうなるのか。70歳と75歳にした場合どうなるのかといいますと、月額というのは変わってきます。70歳だと9万8417円。そして、75歳だと12万7527円ということになります。   もらえる年金を、もらう年齢によっても、いろいろ変わってくるということなのですけれども、月々に受け取る額が、遅くするほど多くなるということなのですが、何歳まで生きるかによって、変わってくると思います。

読売テレビ
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