25年春闘、きょう集中回答日 賃上げ2年連続で5%超えか

 3月12日、2025年の春季労使交渉(春闘)は、大手企業の多くが労働組合の要求に回答する集中回答日を迎えた。写真は日本国旗。2016年2月、都内で撮影(2025年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 12日 ロイター] - 2025年の春季労使交渉(春闘)は12日、主要企業の集中回答日を迎えた。相場形成のけん引役となるトヨタ自動車(7203.T), opens new tabをはじめ満額回答が相次いでおり、全体で5%以上の賃上げ(定期昇給分含む)が今年も実現するとの見方が強まっている。
今年は集中回答日に先行しデンソー(6902.T), opens new tabやアイシン(7259.T), opens new tabなどトヨタグループの大手部品メーカー、イオン(8267.T), opens new tabグループ各社などが満額回答で妥結。序盤から賃上げの「力強いモメンタム(勢い)の定着に向けた息吹を感じる」(経団連の十倉雅和会長)ものとなっている。この日も午前から高水準の回答が相次いだ。
トヨタは5年連続で賃金・賞与総額として満額回答した。定期昇給分(定昇)とベースアップ(ベア)に相当する賃金改善分を合わせ、職種や階級ごとに1人当たり月9950円─2万4450円増額し、年間一時金(賞与)も7.6カ月分とした もっと見る
三菱電機(6503.T), opens new tabはベア月額1万5000円で回答。組合要求の1万7000円は下回ったものの、査定昇給と合わせた賃上げ率は平均6.42%と過去最高水準となった。
組合要求を上回る回答も一部で出ている。三菱ケミカル(4188.T), opens new tabはベア4.8%と、組合要求4%を上回る満額以上の回答。定昇を含む賃上げ率は7.01%となった。
一方、経営再建を急いでいる日産自動車(7201.T), opens new tabの賃上げ総額は1万6500円と、組合要求の1万8000円を下回った。パナソニックHD(6752.T), opens new tab、日本製鉄(5401.T), opens new tabも要求を下回る回答を示した もっと見る

<物価上昇を上回る賃上げは>

ベアと定昇を合わせた賃上げ率(連合の最終集計)は、1990年代半ば以降1─2%台で動きに乏しい状態が続いていたが、23年に3.58%、24年に5.10%と高水準の賃上げを実現した。

連合が6日公表した25年春闘における賃上げ要求率(3日時点)は、平均6.09%と昨年同時期の5.85%を上回り、93年以来の高水準 もっと見る 。要求と妥結金額は異なるものの、物価上昇や人手不足など企業に賃上げを促した環境は変わっておらず、最終的な賃上げ率は5%台を確保できるとの見方が多い。

農林中金総合研究所の南武志氏は、人手不足と好業績を追い風に今年の賃上げ率は5.3%程度と予想している。

もっとも、23年、24年と賃上げは加速したものの、長引くインフレの影響で実質賃金がマイナスとなることが多く、人々の生活が改善した実感は薄いとの指摘もある。25年は物価上昇を上回る賃上げを実現し、経済の好循環を回転させられるかが焦点となる。

連合は妥結金額の1次集計を14日に発表する。その後、夏ごろまで中小企業の交渉が続く。物価も上昇する中、力強い賃上げモメンタムの「息吹」を日本全体に行き渡らせられるかは、中小企業や非正規雇用者の賃上げ実現にかかっている。

石破茂政権は「賃上げこそ成長戦略の要」とし、日本を成長型経済に移行させることに意欲を示している。金融政策の正常化を進めている日銀も、賃金動向を重要な判断材料としている。

杉山健太郎、岡坂健太郎、梶本哲史 取材協力:白木真紀、清水律子 編集:田中志保

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