人間も星のように光っている!「バイオフォトン」の神秘と実写画像(宇宙ヤバイchキャベチ)

どうも!科学ヤバイch中の人のキャベチです。

夜空にきらめく星々のように、実は私たち人間を含むすべての生き物も自ら光を放っているのをご存知でしょうか?

実際、科学的な観測によって、生物は「バイオフォトン」と呼ばれる肉眼では全く見えない極めてかすかな光を常に発していることが確認されているのです。

これは体温による光の放射(熱放射)ではなく、別のメカニズムによる発光となります。

その明るさは人間の目が感知できる限界の1000分の1以下という微弱さで、特殊な高感度カメラを使わなければ観測できません。

さらに2025年の最新研究により、このバイオフォトンは生物が死ぬと放射が消えることも解明されました。

ここでは、この生命のかすかな光放射の特性と、2025年の最新のものも含めた近年の研究成果を実写画像付きで解説します。

●生命の光「バイオフォトン」

ホタルや深海生物が発するような鮮やかな「生物発光」は、発光器官や特殊な酵素反応によって目に見える強い光を出します。

それに対しバイオフォトンは生物発光とは異なる現象であり、生命の細胞内で起こる化学反応に伴って自発的に放たれる極めて微弱な紫外線や可視光で、外部からの刺激や発光器官を必要としません。

そして例えば、森の中で舞うホタルの光は肉眼ではっきり見えますが、同じ森の木々や動物たちが放つバイオフォトンは全く見えないほど弱いのです。

それでも、高感度の機器を用いれば、この微かな光をとらえることができます。

なぜ全ての生物がこのような微弱な光を放つのでしょうか?

現在、有力な説は細胞内で発生する活性酸素などによる化学反応の副産物だというものです。

呼吸や代謝によって細胞内に生じた過剰な活性酸素は、周囲の脂質やタンパク質、さらには核内のDNAまでも酸化し、それらの分子を一瞬だけ高エネルギー状態(励起状態)にします。

これらの励起分子が元の状態に戻るとき、過剰なエネルギーが光子(光)として放出されるのです。

いわば細胞内で起こる極微小な化学発光反応であり、これがバイオフォトンの正体と考えられています。

実際、試料から抗酸化物質を取り除いたり、過酸化水素などの活性酸素を加えると光子放出が強まることが報告されています。

このことはバイオフォトンが生体内の酸化反応に由来していることを裏付けています。

さらに興味深いことに、生物が発する光の強さはその健康状態やストレスと関係している可能性が指摘されています。

細胞が傷ついたり強いストレスにさらされると、先述の活性酸素が大量に発生し、それに伴ってバイオフォトンも増加するのです。

実験的にも、傷んだ細胞や病変部位ほど光子放出が多いことが報告されています。

平常時、健康な細胞では抗酸化システムが活性酸素を抑え込み、放出される光もごく僅かですが、熱ショックや毒物、病原菌感染などで細胞がストレスを受けると、抗酸化防御が追いつかずバイオフォトンが増大するのです。

このため、バイオフォトンは細胞や組織が受けているダメージの指標、いわば生体の「ストレス度」や「老化度」の指標になり得るのではないかと考えられています。

●バイオフォトンの実写画像

撮影技術の進歩により、近年の研究ではバイオフォトンを直接画像化することに成功しています。

最初の大きな転機は2006年でした。

日本とオランダの共同チームは-120度で冷却した超高感度CCDカメラを用い、人間の胴体・頭部・腕から放出されるバイオフォトンを世界で初めて“部位別マッピング”しました。

暗室で10分露光したところ、顔や胸部が最も明るく、腕や手にかけて弱まるという共通パターンが被験者間で再現されたのです。

さらに興味深いことに、全身が放つバイオフォトンの総量は個人差で最大およそ5倍も開きがあった一方、部位ごとの明るさの「割合」はほぼ同じだったため、研究者は「人体が常に、部位ごとに特徴的な“光の地図”を描いている」と結論づけ、この成果が後続研究の出発点となりました。

2009年には同じ研究グループが、さらに改良した超高感度CCDカメラを用いて、被験者5人を完全暗室で数十分撮影し、顔や手など体表からわずかな可視光が放出されている像を取得しました。

Cは10時で、その後3時間ごとにD,E,F,Gと続きます。

興味深いことに、この微弱な発光には日周期リズムがあり、夕方頃にピークを迎えてその後弱まっていく傾向が確認されました。

研究者たちは、これがエネルギー代謝の日内変動と関係している可能性を指摘しています。

つまり、私たち人間の身体もわずかながら日々のリズムに合わせて光り輝いているのです。

○2025年最新の成果

こうしたバイオフォトン研究は長年にわたり進められてきましたが、「死んだら光はどうなるのか?」という根本的な疑問に正面から答えたものは多くありませんでした。

また、生きた個体全体でストレス反応による光の変化をリアルタイムに可視化する試みも技術的に難しい課題でした。

そこで2025年、カナダのカルガリー大学の研究チームは、最新の高感度カメラを駆使してマウスと植物の全身から放出されるバイオフォトンの撮影実験を行いました。

その狙いは、「生きている状態」と「死んだ後」で生体から出る光がどう変わるか、さらに「環境ストレス」が植物の放つ光にどんな影響を与えるかを調べることでした。

研究チームは、生きたマウスと死んだマウスのバイオフォトンを直接比較するために工夫を凝らしました。

まずマウスを麻酔下で固定し、完全に光を遮断した暗い箱の中で高感度CCDカメラにより1時間撮影します。

次にマウスを安楽死させ、死後すぐに同じ条件(体温が下がらないよう37度に維持)でさらに1時間撮影しました。

その結果、生きているマウスからはカメラで個々の光子が記録できるほど明瞭なバイオフォトンが検出されましたが、死んだマウスでは光の数が劇的に減少し、ほとんど発光が消えてしまうことが確認されました。

同じ体温・同条件下で、わずか死後1時間でこれほど光が減るという結果は、まさに「生命の灯が消える」現象を物理的に裏付けるものです。

植物についても、興味深い結果が得られました。

研究ではシロイヌナズナとヤドリフカノキという植物の葉を用い、物理的な傷をつけたり、高温にさらしたり、薬品を処理するといったストレスを与えると、どの場合もバイオフォトンの輝度が増すことが観察されました。

特に傷を負わせた箇所からは、健康な部分よりも一貫して強い光が放たれました。

16時間に及ぶ長時間撮影でも、傷ついた部分は終始未損傷部より明るく光り続けたのです。

さらに、傷口に特定の薬剤を投与すると発光が変化することも確認され、化学的処置によって光の強さが変わる様子も捉えられました。

これらの結果は、植物のバイオフォトンがやはりストレス応答、とりわけ活性酸素の発生に密接に関係していることを示唆しています。

今回のカルガリー大学の研究は、バイオフォトンが動物における生命力や植物のストレス応答を可視化する有望な手段となり得ることを示しました。

生きている動物では光り、死ぬと消える、植物でもダメージ部位が光るという結果から、バイオフォトンは文字どおり生体の状態を映す鏡だと言えます。

研究チームは、バイオフォトンイメージングが今後、基礎生物学研究のみならず非侵襲的な医療診断ツールとして応用できる可能性を指摘しています。

例えば、作物のストレスをモニタリングして農業に活かしたり、患者の体から放出される光を測定して病気や老化による変化を捉える、といった未来も考えられます。

実際、脳や臓器の機能を光で測ろうという試みや、癌組織でのバイオフォトン増加を利用した研究も始まっています。

まだ課題は多いものの、「生物は光り、そして死とともにその光は消える」というロマンチックな事実が、いつか医療や生命科学の現場で実用に供される日が来るかもしれません。

https://www.researchgate.net/publication/7281944_Anatomic_Characterization_of_Human_Ultra-Weak_Photon_Emission_in_Practitioners_of_Transcendental_Meditation_and_Control_Subjects

https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC2707605/

https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.jpclett.4c03546

https://phys.org/news/2025-05-emit-faint-extinguishes-death.html

宇宙系YouTuber

YouTubeで登録者数29万人「宇宙ヤバイch」と6万人「科学ヤバイch」で最新ニュースなどを解説しています。/23歳で北海道大学経済学部に入学→29歳で卒業/書籍「宇宙ヤバイ スケール桁違いの天文学」好評発売中/好きな天体は海王星とブラックホール!

*******
****************************************************************************
*******
****************************************************************************

関連記事: