【日本市況】日経平均が600円超高、AI需要で半導体買い-円は上昇
26日の日本市場は株式が3日続伸し、日経平均株価は600円以上上げた。人工知能(AI)向け需要への期待で米国の半導体株が上昇した流れや米マイクロン・テクノロジーの好決算を材料に、アドバンテストやフジクラなど半導体・AI関連銘柄の上昇が目立った。
インベスコ・アセット・マネジメントの木下智夫グローバル・マーケット・ストラテジストは、AIブームの継続で世界経済が鈍化しても半導体業界は成長を続ける可能性が高く、将来的な需要の増加が見込まれるセクターに資金が流入していると話した。
トランプ米大統領が米連邦準備制度理事会(FRB)議長の早期指名を検討するとの一部報道をきっかけに為替市場では円高が進み、円は1ドル=144円台前半に上昇。オーストラリア・ニュージーランド銀行外国為替・コモディティ営業部の町田広之ディレクターは「FRBの独立性低下によるドルへの信認低下、日米金利差縮小の思惑の両面からドルは売られやすい」と指摘した。
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26日の国内株式・為替・為替相場の動き- 東証株価指数(TOPIX)の終値は前日比0.8%高の2804.69
- 日経平均株価は1.7%高の3万9584円58銭
- 円は対ドルでニューヨーク終値比0.6%高の144円32銭-午後3時54分現在
- 長期国債先物9月物の終値は前日比20銭安の139円21銭
- 新発10年債利回りは2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)高い1.415%
- 新発30年債利回りは0.5bp低い2.895%
株式
株式相場は日経平均が節目の3万9000円を上回り、終値で1月24日以来、約5カ月ぶりの高値を付けた。売買代金上位ではレーザーテックやソフトバンクグループ、東京エレクトロン、古河電気工業、荏原など半導体関連、AI関連銘柄が指数の上げを主導。北大西洋条約機構(NATO)加盟国が国防費を国内総生産(GDP)の5%に増やすことで合意し、三菱重工業も買われた。
CLSA証券の釜井毅生エグゼキューション・サービス統括本部長は、ファンダメンタルズでは説明しにくい上昇相場だが、「地政学リスクの後退や米利下げ観測の高まりで投資家心理の改善が続き、日本株にもプラスに働いている」と指摘。今後は4万円の回復も視野に入り、中東関連などでネガティブなニュースが出なければ、「上昇のモメンタム(勢い)は続きそうだ」と述べた。
半面、為替の円高推移を嫌気し、ホンダやHOYA、三菱電機など輸出セクターの一角が下げ、投資家説明会で社長が時価総額目標の達成先延ばしに言及したルネサスエレクトロニクスは急落。業種別では医薬品、食料品などディフェンシブセクターが安い。
為替
円相場は1ドル=144円台前半まで上昇。トランプ米大統領がパウエルFRB議長の早期指名を検討しているとの報道を受けたドル売り・円買いが優勢だった。
同報道で候補者の1人に挙げられたウォラーFRB理事は7月利下げの可能性に言及している。オーストラリア・ニュージーランド銀の町田氏は、トランプ大統領の色が強い議長が指名されれば、「市場が織り込む年内の利下げ回数は2.5回から3回に増え、円は143円を目指す」と予想する。
野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストも、ウォラー氏やハセット国家経済会議(NEC)委員長などの候補者はトランプ政権に近く、「FRBの独立性低下につながるリスクがある」と指摘。主要10通貨の中で円の上げが大きかった点については、「月末で輸出企業のドル売りが出やすいことが影響しているかもしれない」と話した。
T&Dアセットマネジメント債券運用部の浪岡宏チーフ・ストラテジスト兼ファンドマネジャーは、米経済の減速もあり、米利下げへの思惑から目先1ドル=142円、中期的に140円割れの円高もあり得るとの見方を示した。
債券
債券相場は超長期債が上昇。7月から発行減額となることを受けた需給改善期待に加え、米長期金利の低下を材料視した買いが入った。この日実施された2年国債入札はおおむね市場予想通りだった。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは「今年度後半から2年債は増発されるが、日銀の早期利上げ観測の後退の影響が大きく、買いやすいと評価されたのではないか」と述べた。
入札結果によると、最低落札価格は99円93銭と、市場予想と一致。小さいと好調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)は1銭2厘と、前回の9厘からやや拡大した。投資家需要の強弱を反映する応札倍率は3.9倍と、前回の3.77倍から上昇した。
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2年債入札は無難に終えたが、中長期債は下落した。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤原和也債券ストラテジストは「日銀の利上げ期待が上昇しているわけではなく、米金利低下と外部環境も悪化しておらず、フラットニング(平たん化)を狙った取引が出ている可能性がある」と指摘した。
新発国債利回り(午後3時時点)
2年債 5年債 10年債 20年債 30年債 40年債 0.720% 0.965% 1.415% 2.310% 2.895% 3.090% 前日比 +0.5bp +2.0bp +2.0bp -0.5bp -0.5bp -1.5bpこの記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。