米中首脳が電話会談、レアアース巡り理解深めたとトランプ大統領
トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は5日の電話会談で、両国がさらに貿易協議を実施することで合意した。争点である中国のレアアース(希土類)輸出規制を巡っては整理がついたとの見解をトランプ氏は示した。
トランプ氏はホワイトハウスで記者団に対し、中国との貿易関係が過去に「やや軌道を外れた」と認めつつ、今では「中国および貿易合意については非常に良い状況だ」と発言。「主にレアアース磁石やその他一部の争点に関して、整理することができた」と語った。
紛争沈静化への期待から、S&P500種株価指数は一時上昇に転じた。トランプ氏は「非常に良い会談だった」と述べ、「両国にとってとてもポジティブな結果となった」と話した。主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は、下げ幅を縮小した。
トランプ氏はこれより先、ソーシャルメディアに「非常に良い会談だった」と投稿し、「レアアース製品の複雑性について疑問はなくなったはずだ」と続けた。
ただ輸出ライセンスの迅速化で中国が同意したのかどうかについて、トランプ氏は具体的な言及を控えた。
ネガティブな措置
中国の習近平国家主席はこの電話会談で、中国に対する「ネガティブ」な措置が両国の貿易に緊張をもたらしているとして、これらを解除するよう求めた。中国中央テレビ(CCTV)が報じた。両首脳は今後さらに交渉することで合意したという。
中国外務省が発表した会談概要によれば、5月にスイス・ジュネーブでまとまった貿易合意を中国は順守したと習主席は主張。米政府当局者らはこれまで、レアアースの輸出規制解除が遅いとして苦情を申し立てている。
習主席は両国が誤解を減らすよう取り組むことが重要だとも述べ、トランプ氏の訪中を歓迎するとも述べたという。トランプ氏はソーシャルメディアへの投稿で、習氏を米国に招待した。ホワイトハウスで記者団を前に、自分はメラニア夫人とともに中国を訪問すると述べたが、時期には触れなかった。
中国の発表文書によれば、トランプ氏は習氏に対し、中国人留学生を米国は歓迎すると伝えた。トランプ政権は米大学への留学を希望する外国人学生のビザ(査証)申請を、却下する政策を打ち出している。
「中国人学生が米国に来るのはまったく問題ない。留学生を迎えるのは米国にとって名誉だ」とトランプ氏は記者団に述べた。
トランプ氏は再協議が「近く」実現すると述べ、ベッセント財務長官とラトニック商務長官、米通商代表部(USTR)のグリア代表が米国側の交渉団に含まれると述べた。
トランプ氏によると、1時間半の電話会談は貿易問題がほとんどを占めた。中国側の会談記録によると、米国が台湾への武器輸出を強化するとの報道を踏まえ、習主席は台湾についてトランプ氏に警告を発した。
トランプ米大統領と習近平国家主席による今回の電話会談は、トランプ氏が1月に大統領に就任してからは初の正式な接触となる。中国外務省はトランプ氏の要請により会談が行われたと説明した。
米中関係は過去数週間で一段と悪化。関税を巡る貿易休戦の合意を違反したと双方が非難している。市場では今回の電話会談が事態打開の糸口になるとの期待が広がり、株式相場は上昇。S&P500種株価指数は4日続伸の勢い。
ここ数日では、レアアース(希土類)が新たな対立の火種となっていた。米国は、先端電子機器に不可欠なレアアースに関する約束を中国が守っていないと非難。一方の中国は、米国による半導体設計ソフトの輸出規制強化などに強い不満を示していた。
トランプ氏は以前から、米中間の対立解消には習主席との直接対話が不可欠だと主張してきた。しかし習氏はこれまで、電話会談に応じるには何らかの見返りが必要だとの姿勢を崩してこなかった。
一方、米国との関税交渉のためワシントンを訪問している赤沢亮正経済再生相は、米中首脳が電話で会談したことについてはコメントを差し控えるとしつつ、緊張感を持って今後も両国関係を注視していくと記者団に述べた。
原題:Trump Says Xi Call Yielded Rare Earths Progress, More Talks (2)(抜粋)