【大河ドラマ べらぼう】チーフ演出・大原拓ディレクターがドラマ前半を総括「流星さんは何色にもなれる白いキャンバス」「小芝さんの魅力と存在感は大きかった」「視聴者が悲鳴を上げる展開は今後もあります」

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大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の前半が終わり、主人公の蔦屋重三郎(蔦重、横浜流星さん)にとってかけがえのない存在だった瀬川(花の井、小芝風花さん)や平賀源内(安田顕さん)も退場しました。これから蔦重はどうなるのでしょう? チーフ演出の大原拓ディレクターに、ドラマ前半の総括と今後の見どころについて語っていただきました。

流星さんは白いキャンバス

――以前、大原さんは横浜さんの笑顔が魅力的と仰っていましたが、撮影が進んで新たに感じた魅力は?

大原さん:やはり僕は流星さんの笑顔が好きです。あの笑顔を見ると元気になるし、なんであんな笑顔ができるのか不思議なくらいステキです。また、役に対する入り方がとても繊細でありつつ大胆でもあり、台本に書かれていない部分の時間の埋め方や、キャラクターの余白を考えてくれています。ふつうに蔦重として生きていて、横浜流星を出していない感じがします。横浜流星は白いキャンバスで、相手によって色を変えて何色にもなれて、どんな人にもなれるところが魅力的です。

――横浜さんが出されたアイデアで、特になるほどと感じたものは?

大原さん:たくさんありますが、例えば第10回で、瀬川の部屋を訪れた蔦重が「青楼美人合姿鏡」を彼女に渡すシーンのとき、流星さんは最後の大事なセリフを外に向かって大声で言ったのです。蔦重の一番大切な気持ちを伝える場面でしたから、彼の表現方法になるほどと思いました。

小芝さんは吉原の女性像のすべてを表現

――前半では小芝さんの演技もすばらしかったです。期待していた通りの演技でしたか。

大原さん:期待以上です。小芝さんには、恋愛も含めて吉原の女性像をすべて表現していただきました。ディレクター的表現になりますが、彼女が出ると画面が華やぐだけでなく、絵が引き締まり、まとまるのです。小芝さんの魅力と存在感は大きかったと思います。確かに瀬川がいたんだな、と思わせてくれましたし、唯一無二の同志である瀬川がいることで、蔦重という確固たるベースができたと思います。

大田南畝はめちゃくちゃ明るい

――瀬川ロスの人も多いと思います。今後、ヒロインとなる女性はどんなふうに描かれるのでしょうか?

大原さん:福原遥さん演じる花魁の誰袖(たがそで)と、橋本愛さん演じる「てい」が蔦重と大きく関わります。でも、二人とも瀬川とは全然違うアプローチになります。まったく違う女性が出てくることを楽しんでいただきたいです。蔦重は、基本的に女性の気持ちがわからない設定で、それは瀬川のときと変わりません。そんな要素も楽しんでいただけるといいなと思います。

蔦重と大きく関わる女性てい(橋本愛さん) 花魁・誰袖(福原遥さん)

――新たな登場人物では、喜多川歌麿(染谷将太さん)や大田南畝(桐谷健太さん)を楽しみにしている視聴者も多いと思います。

大原さん:二人については、史実でよくわからない部分もあるので、その点を踏まえてキャラクターを作っていきたいと森下さんとも話しています。絵師でも作家でも、ふつうの人という構造で描きますが、大田南畝はめちゃくちゃ明るいです(笑)。歌麿のほうは少し影がある感じで、絵を描く動機を探しているような人物になると思います。

めちゃくちゃ明るい大田南畝(桐谷健太さん) 喜多川歌麿(染谷将太さん)

蔦重は源内を生かし続ける

――蔦重は日本橋に進出して、江戸文化をけん引する存在になると思いますが、今後も吉原への気持ちは残るのでしょうか。

大原さん:吉原に対する気持ちはずっとありますが、同時に、第16回でも再び出てきた源内の言葉「書をもって世を耕し、この日の本をもっともっと豊かな国にする」も蔦重のなかに残ります。日本橋に出る理由は、地方の人や商人など多くの人がそこに集まり、仕入れなどをする場所だから。今後も源内を生かし続け、世のため人のために書を広めるという気持ちが吉原の外にも広がっていきます。

森下さんの台本はディレクターとして楽しい

――森下さんの台本はどんな印象ですか?

大原さん:読んでいると絵が出てくるような感じがします。きっと演者さんも、ご自身がどんなふうに描かれているのかイメージしやすいと思います。また、余白を残して、演者さんや監督に任せる部分を作ってくださる台本になっています。芝居を具体的にどう見せるのか、森下さんが楽しみにされている感じがして、ディレクターとして楽しくおもしろい台本です。

――今後も、視聴者が期待する森下さんらしい展開はありそうですか?

大原さん:みなさんがXで「森下さんの地獄。このままでは終わらない」などとつぶやいておられますが、そのような世界が今後もあります。視聴者の方が悲鳴を上げる展開もありますので、ご期待ください。

(ライター・田代わこ) <あわせて読みたい>

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