NY市場サマリー(23日)米国株反落、ドル安定的、利回り低下

<為替> ニューヨーク外為市場では、ドルが主要通貨に対し安定的に推移した。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長ら金融当局者の発言を見極める展開となった。

終盤の取引で、主要通貨に対するドル指数はほぼ変わらずの97.25。

ドル/円は0.08%安の147.56円、ドル/スイスフランは0.11%安の0.791フラン。

ユーロ/ドルは0.08%高の1.1812ドル、ポンド/ドルは横ばいの1.3517ドル。

パウエル議長は23日の講演で、雇用の伸びの弱さが労働市場の健全性に対する懸念につながる中、インフレが想定以上のペースで加速するリスクは継続しているとし、FRBは難しい舵取りを迫られていると述べた。

NY外為市場:

<債券> 米金融・債券市場では、国債利回りが低下した。市場は、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の追加緩和に慎重な姿勢を示す発言を消化している。

指標となる10年国債利回りは、終盤では2.6ベーシスポイント(bp)低下の4.119%となった。30年債利回りも2.5bp低下の4.736%となった。

パウエル議長は23日、雇用の伸びの弱さが労働市場の健全性に対する懸念につながる中、インフレが想定以上のペースで加速するリスクは継続しているとし、FRBは難しい舵取りを迫られていると述べた。利下げを急ぎすぎればインフレが再び急上昇するリスクがある一方、利下げを過度に緩やかなペースで進めれば失業率が不必要に上昇する恐れがあるとも指摘した。

FRBのボウマン副議長(金融監督担当)と米アトランタ地区連銀のボスティック総裁もこの日の発言で同様の見解を示した。

市場は経済の方向性を示すさらなるデータや、10月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利下げあるいは据え置きの可能性を見極めたいとして、今週は静観モードに入ったようだ。

米金融・債券市場:

<株式> 米国株式市場は主要3指数が反落して取引を終えた。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が今後の金利決定でインフレ懸念と雇用市場の減速のバランスを取る必要があるとの見解を示したことを受けた。

ハイテク株比率が高いナスダック総合(.IXIC), opens new tabが下げを主導。オープンAIへの最大1000億ドルの投資計画発表を受けて前日に上昇していたエヌビディア(NVDA.O), opens new tabがこの日は2.8%安となった。

パウエル議長は23日、雇用の伸びの弱さが労働市場の健全性に対する懸念につながる中、インフレが想定以上のペースで加速するリスクは継続しているとし、FRBは難しい舵取りを迫られていると述べた。次回の利下げ時期について明確な手掛かりはほとんど示さなかった。

スパルタン・キャピタル・セキュリティーズのチーフ市場エコノミスト、ピーター・カルディーロ氏は「議長はややハト派的だったものの、同時に慎重な姿勢も示した。追加利下げに含みを残しつつも、次の利下げの時期や規模については全く示唆がなかったことを意味する」と指摘。これを受けて売りが優勢になったとしたほか、何らかの調整が入ってもおかしくない状況だったと述べた。主要3指数は前日まで3営業日連続で過去最高値を更新していた。

米国株式市場:

<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、米連邦準備理事会(FRB)による追加利下げ期待や地政学リスクへの懸念を背 景に金の買いが加速し、3営業日続伸した。

金は前日に中心限月の清算値ベースで最高値を更新した後も騰勢を強め、23日早朝の時間外取引で初めて3800ドルを突破した。相場が上値を試す場面では、利益確定や持ち高調整の売りが出たものの、3800ドルを割り込む水準では買い戻しが入り、素速く切り返した。FRBによる追加利下げ期待やロシアを巡る地政学リスクへの警戒感を背景に安全資産としての金の買い地合いがなお強まっている。

FRB高官らによる追加利下げの可能性に関する発言が、利子の付かない資産である金の買いを後押し。パウエルFRB議長はこの日午後の講演で、先週の連邦公開市場委員会 (FOMC)での利下げ決定後も、「金融政策スタンスは依然として小幅に景気抑制的だ」との見解を示し、追加金融緩和の余地が残されていることを示唆した。ボウマンFRB副議長は午前の講演で、先週のFOMCでの利下げ再開決定について、「7月会合で始めるべきだった」とした上で、支持したと言及。労働市場の悪化が続くなら「より速やかな大幅な政策調整必要がある」との見解を示した。

NY貴金属:

<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、供給過剰懸念が後退し、上伸した。

ロイターによると、イラク政府と同国のクルド自治政府は22日、トルコ経由での原油輸出再開に向け石油企業各社と合意したという。2023年3月から停止していたクルド自治区からの原油輸出(日量約23万バレル)が再開されるとの観測が広がった。一 方、その後石油企業2社が債務返済保証を求め、23日に合意は頓挫。一連の報を受け、 供給過剰懸念が後退し、相場は買い戻しで反応した。

石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」の増産決定を受け、需給の緩みが警戒される中、市場では欧州連合(EU)によるロシア産原油輸出への制裁強化の可能性や中東情勢の緊迫化が引き続き意識され、終日プ ラス圏を維持した。

NYMEXエネルギー:

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