中国AIモデルの回答、政府見解と親和性 米当局調査で判明
[ワシントン 9日 ロイター] - 米政府当局者が、中国の人工知能(AI)モデルが、質問に対してどの程度中国共産党の公式なイデオロギーに沿った回答するのかを調査していることが分かった。ロイターが関連文書で確認した。文書によると、米国務省と商務省の当局者が携わっており、中国語と英語での標準的な質問への回答を調べている。
これはAIの基盤となる大規模言語モデル(LLM)を巡り、米中が激しい開発競争を繰り広げていることを示している。AIが日常生活に浸透するのに伴い、LLMにイデオロギー的な偏りがあった場合、それが広まる可能性があることを意識している。
文書によると、米政府当局者は最近、中国の電子商取引(EC)大手アリババ・グループのAIモデル「Qwen(通義千問)3」や、中国の新興企業ディープシークの生成AIモデル「R1」などが中国政府の見解に関する質問に答えたかどうかや、その答えがどれだけ政府見解に近いのかを審査している。
その結果、中国と他国がそれぞれ領有権を主張して係争中の南シナ海の島々に関し、中国のAIモデルは中国の主張を支持するなど、米国のAIモデルに比べて中国政府の主張に沿った回答をする割合が著しく高いことを示した。
ディープシークとアリババにそれぞれコメントを求めたものの、直ちには返答がなかった。
国務省のある当局者は、米国の地政学的なライバルである中国が偏ったイデオロギーのAIモデルを導入していることに警鐘を鳴らすため、最終的に調査結果を公表する可能性があると明らかにした。
国務省と商務省にコメントを求めたが、すぐには回答しなかった。
米首都ワシントンの在米中国大使館の劉鵬宇報道官は電子メールで、この文書のことには触れずに、中国が「発展と安全保障」のバランスを取った「明確な国家特性を持つAI統治システムを急いで構築している」とコメントした。
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Reporter covering cybersecurity, surveillance, and disinformation for Reuters. Work has included investigations into state-sponsored espionage, deepfake-driven propaganda, and mercenary hacking.