【中日好き】8月下旬は2カード連続勝ち越し、ベテラン・加藤匠馬はバットで存在感(J SPORTS)
9月に入るというのに、厳しい残暑が続く。連日40度近くを計測するニュースを見聞きし、日本は亜熱帯になったのではと真剣に考えてしまう。野球を楽しむにもまずは体調管理だ。読者の皆さまにおかれましては、どうぞご自愛くださいませ。
さて、プロ野球は残り25試合を切るようなタイミング。井上一樹監督率いる中日ドラゴンズはギリギリの戦いをしながら、シーズンを乗り切ろうとしている。本稿では8月最終週の振り返り、ならびに次週の展望を綴っていきたい。
◆先週は2カード連続勝ち越し 先週の前半は本拠地で東京ヤクルト、後半は敵地で横浜DeNAと戦った。
・8月26日(火):●0-2 東京ヤクルト ・8月27日(水):◯3-0 東京ヤクルト ・8月28日(木):◯4-3 東京ヤクルト
バンテリンドームナゴヤに最下位・東京ヤクルトを迎え、2勝1敗。前週末の広島戦に続き、2カード続けての勝ち越しとなった。
初戦は相手先発・小川泰弘の前に打線が沈黙。三塁を踏めぬまま零封負けを喫した。カイル・マラーが6回途中2失点の粘投。後を継いだ4人のリリーバーは無失点投球を見せた。
2戦目は大野雄大が7回3安打無失点の好投。自身今季6度目の「連敗ストッパー」を演じた。内容も4回1死から7回終了まで、12人連続アウトに取るなど言うことなし。打線は田中幹也の適時打で先制。マイケル・チェイビスが5号ソロを放っている。
3戦目はシーソーゲームを制した。初回に先制されるも、すぐさま逆転。その後、勝ち越されるが、7回に上林誠知が逆転の2点タイムリー。このリードをウンベルト・メヒア、松山晋也の継投で守り切った。
・8月29日(金):◯9-8 横浜DeNA ・8月30日(土):◯9-7 横浜DeNA ・8月31日(日):●0-2 横浜DeNA
8月最後のカード、横浜スタジアムに乗り込んでの横浜DeNA戦は激闘続きだった。
初戦は3点を追う展開から中盤に追いつき、7回に細川成也と山本泰寛、加藤匠馬の適時打で6-3と勝ち越し。8回に再び追い付かれるも、9回にジェイソン・ボスラーの2ランと加藤匠のソロで突き放す。その裏、松山が1点差に迫られるが、最後は気迫で押し切り勝利を収めた。
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2戦目も前夜に負けず劣らずの激闘。6回まで3-3の同点は前夜と同じ。その後、8回に両軍2点ずつを奪い5-5となり、延長戦へ突入。勝負を決めたのは11回、代打・ブライト健太が満塁走者一掃の適時打で勝ち越し。加藤匠も続いて4点リードを奪った。裏の守りで2点を取られるが、最後は田中の好プレーもありゲームを終わらせた。
3戦目は2週間前と同様、藤浪晋太郎とのマッチアップ。中日は左打者を8人並べる打線で臨んだが、あと1本が出ない展開で得点を挙げられず。先発・松葉貴大は6回1失点にまとめたが、敗戦投手となった。
8月31日終了現在で、中日は54勝63敗2分の5位。4位の広島と0.5ゲーム差、3位・横浜DeNAとは1.5ゲーム差。そして2位・巨人に3ゲーム差と、Aクラスだけでなく本拠地CS開催を射程圏内に捉える。残り24試合、死力を振り絞っての戦いとなりそうだ。
◆ベテラン捕手・加藤匠がバットで存在感 激闘続きだった週末の横浜DeNA戦。勝った金曜、土曜の「トドメの1点」を叩き出したのは、加藤匠馬のバットだ。金曜は千葉ロッテ時代の2021年以来、4年ぶりの本塁打となる1号ソロ。土曜は延長11回、センターへの適時打だった。
とりわけ金曜の一発は、中日の一員としてはキャリア初の本塁打なのもあり、スタンドのファンに驚きをもって迎えられた。筆者も三塁側内野席で観戦しており、周りの竜党の方々と歓喜を共有しつつ、この本塁打がどれだけレアなものだったか伝えたのを覚えている。
長年中日を見ている人ならご存知だろうが、加藤匠は一芸の人である。青山学院大学時代は下位を打っており、捕手としての守備力も際立ったものはない。だが、誰にも負けない肩の強さがあった。そこに目をつけた当時の落合博満GMがゴーサインを出し、2014年のドラフト5位指名で中日に入団している。
プロ入り後は、「甲斐キャノン」ブームに乗り、2019年に本格デビュー。この年の92試合出場は今もキャリアハイだ。2021年途中の千葉ロッテ移籍後は、佐々木朗希とバッテリーを組んでCS出場を果たしたり、プロ初本塁打をマークしたりもした。
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2022年オフに中日復帰を果たすと、「縁の下の力持ち」ポジションでチームを支え続けている。今季は主に高橋宏斗登板時の先発マスク、そして僅差リード時の「抑え捕手」として度々出場。打撃面は変わらず課題を残すも、直近は打席に立った4試合連続で安打を記録。先の横浜DeNA戦のように好機での一打も目立つ。
今季の中日は新人の石伊雄太が、正捕手の階段を上り始めている。一方で、今は経験不足から来る打撃不振や体力不足に陥っている。そういう時にベテランの加藤匠が鮮やかな活躍をすると、チームは上手く回っていくはずだ。
◆今週は本拠地で6連戦 今週は本拠地で阪神、巨人と6連戦の予定だ。 ・9月2日(火)~4日(木):vs.阪神(バンテリンドームナゴヤ) ・9月5日(金)~7日(日):vs.巨人(バンテリンドームナゴヤ)
阪神は優勝へのマジックを「7」とし、胴上げが現実味を帯びている。ただ、中日はここまで9勝8敗とリーグ内で唯一阪神に勝ち越し。互角以上の戦いを見せている。この3連戦はマラー、大野と来て、3戦目の先発が不透明だったが、どうやら涌井秀章がマウンドに上がりそうだ。
2位の巨人に対しては9勝10敗とほぼ互角。直近4カードは負け越しがなく、8月の東京ドーム3連戦も勝ち越している。順位争いの観点から言っても、ここは再び勝ち越しておきたい。対戦打率.350、4本塁打で「巨人キラー」と化している上林の活躍に期待だ。
加賀 一輝