英国、核弾頭プログラムに150億ポンド-首相が防衛改革の概要発表

Joe Mayes、Tom Rees、Ellen Milligan

  • 国防費のGDP3%達成時期については、財源未定として明示せず
  • ロシアや米トランプ政権の欧州政策意識-AUKUSで潜水艦建造も

英国のスターマー首相は2日、核抑止力の拡大など、英国軍の大規模な改革の概要を発表した。ただ、国防費に国内総生産(GDP)の3%を充てる目標の達成時期については、明らかにしなかった。

  スターマー氏は、世界的な脅威の高まりと不安定さの拡大に対応するため、英国は「戦争準備態勢」に移行すると述べた。核弾頭プログラムに150億ポンド(約2兆9000億円)を投じるほか、米英豪の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」の一環として、最大12隻の潜水艦を建造する考えを示した。

英グラスゴーのBAEシステムズの施設。英国のスターマー首相が6月2日に訪問した

  スターマー氏は、2日の英BBCラジオで「紛争を阻止したいなら、その最善の方法は紛争に備えることだ。世界は変化した。我々は準備を整えなければならない」と呼びかけた。

  英国の防衛政策見直しの背景には、ロシアのウクライナ侵略に加え、トランプ米政権の下で、米国が欧州の安全を保障する意思があるのか疑問視されていることがある。こうした変化を受けて、英政府は国防費がGDPに占める割合を、現在の約2.3%から、2027年までに2.5%に引き上げる方針だ。

グラスゴーのBAEシステムズの施設で演説する英国のスターマー首相(6月2日)

  ただ、国防費をGDP比3%に引き上げる時期についてのスターマー氏の曖昧な態度が、新たな防衛計画に影を落としている。北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長は、加盟国はGDP比3.5%を国防に費やすべきだと提案している。さらに、トランプ氏は5%の支出を要求している。

  スターマー氏は3%の達成時期について、支出の財源が確定するまでは正確な日程を約束することはできないとし、「見せかけの、空想的な政治は信頼できない。防衛と安全保障に関してはなおさらだ」と述べた。

原題:Starmer Reveals UK Military Overhaul as Spending Doubts Linger(抜粋)

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