大炎上中の「GPT-5」に一体何が?ユーザーが激怒した3つの理由(ライフハッカー・ジャパン)
OpenAIが世界に先駆けて発表した最新モデル「GPT-5」。大々的なプレゼンでスタッフは「史上最高に賢く、知識豊富でパワフルなモデルだ」と力説しました。 しかし、蓋を開けてみると、まったく違う状況のようです。 この記事のポイント 鳴り物入りで登場した「GPT-5」は、ユーザーから「全然賢くない」「改悪だ」と大ブーイング。 突然の旧モデル(GPT-4oなど)廃止、さらに不便になった「モデル自動切り替え」機能が火に油を注いだ。 高性能化の裏で失われた、ユーザーが愛着を感じていた「人間味」が、今回の騒動の大きな原因の1つ。
発表からわずか24時間で、GPT-5を試した多くのユーザーから批判が殺到しました。 掲示板サイトReddit内の「r/ChatGPT」を覗けば、その状況がよくわかります。 「有料ユーザーだけど、GPT-5は史上最大のゴミ」「OpenAIはAI史上最大の詐欺をやらかした」「GPT-5の展開は悲惨すぎる」といった不満の声がトップページを埋め尽くしているのです。 なかでも一番の火種となっているのが、OpenAIが旧モデルの提供を突然終了したこと。 プレゼンの途中でひっそりと発表されたこの決定により、GPT-4oやo3、4.5といったモデルが、予告なく一晩にして使えなくなりました。 今後はGPT-5とその派生モデル(GPT-5 miniなど)しか利用できません(のちに復活しますが)。 多くのユーザーは、「後継モデルが以前と同じ体験を提供してくれない」と感じており、この一方的な変更に怒りをあらわにしています。 その結果、サブスクリプションを解約する人も出てきました。
ChatGPTがセラピー目的で使われていることや、ユーザーが特定のモデルに深い愛着を抱いていたりする現状があります。特に旧モデルへのアクセスを失ったユーザーからは、感情的な反応が多く見受けられます。 あるユーザーは、以下のように用途によって使い分けており、単なるツールではない「相棒」としてのモデルが失われたことへの悲嘆を嘆いています。 創造的なアイデア出しには「4o」 論理的な問題解決には「o3」 深いリサーチには「o3-Pro」 執筆作業には「4.5」 また別のユーザーは、不安や鬱のサポートに「4o」を使っていたと語っています。彼にとって、このモデルは「人間味」を感じさせる存在でした。 彼のように「4o」の喪失を嘆き悲しんでいる人が少なくないことは、いくつかの4oに特化した投稿とも一致しています。これらのモデルを本当に気に入っており、利用できなくなったことにひどく取り乱している人々がいるのです。
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こうしたユーザーからの大ブーイングに対し、OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏がX(旧Twitter)で状況を説明する投稿を連投し、批判された決定を一部撤回する動きを見せました。 その内容は以下のとおりです。 ChatGPT Plusユーザーの利用制限を当面2倍に引き上げる。 GPT-5は今日からさらに賢くなったように感じられるはず。 どのモデルが回答しているか、簡単に確認できるようにする。 手動でのモデル切り替えをよりシンプルにする。 そして、もっとも多くのユーザーが喜んだのが、4oが復活したというアナウンスでした。少なくともPlusユーザーは、当面4oを使い続けることができます。今後いつまで提供を続けるかについては、「利用状況を見て判断する」とのことです。 今回の騒動が、OpenAIにとって想定外の出来事だったことは間違いないでしょう。 ユーザーは、一度は解約したサブスクリプションを再度契約するのでしょうか? しかし、どうせいつかはまた使えなくなるのなら、という気持ちもあるかもしれません。 GPT-5のリリースが、OpenAIが思い描いていたような華々しいものにならなかったのは確かです。今後のユーザーとAIの関係性、そしてOpenAIの対応に注目が集まります。 Source: Reddit(1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9), Bluesky (1, 2, 3, 4, 5), TechCrunch, , X(1, 2, 3, 4, 5)
ライフハッカー・ジャパン編集部
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批判の理由は感情的なものだけではありません。GPT-5そのものの性能にも疑問の声が上がっています。 たとえば、「blueberry(ブルーベリー)」という単語に「b」が何回出てくるか尋ねると、GPT-5は「3回」と答えたそうです。これは「blue」と「berry」をそれぞれ1つの単語として数える、という奇妙なロジックに基づいています。 そして、これは目新しい失敗ではありません。LLMはこれまでも「strawberry」のような単語のスペルを間違えることがあり、このような簡単な問題を間違えることはOpenAIの「史上最高モデル」をうたうGPT-5にとっては、あまり良い印象ではありません。 同様に、あるXユーザーは、「GPT-5が簡単な一次方程式を解けなかったが、GoogleのGemini 2.5は問題なく解けたこと」を指摘。また別のユーザーは、GPT-5が生成したアメリカ合衆国の地図を投稿しましたが、ほとんどの州が意味不明な文字でラベル付けされていたことを報告しています。 一部のユーザーは、OpenAIの曖昧なベンチマークデータについてからかいました。 XユーザーのRhysは、「このGPT-5の数値はとんでもないな」と皮肉を込めて投稿し、GPTの各バージョンを番号で示したグラフを添付しました(Y軸でGPT-1が「1」、GPT-2が「2」といった具合に、GPT-5が「5」になるまで続きます)。 these gpt-5 numbers are insane 🤯 pic.twitter.com/sjp6yJ9qCU — Rhys (@RhysSullivan) August 7, 2025
GPT-5の主要機能の1つである自動切り替えに対しても批判が出ています。 無料版と有料版のChatGPTユーザーは特定のモデルを選択できませんが、OpenAIの見解では、これは良いこととされています。GPT-5は、ユーザーの質問に基づいて適切なモデルを自動で選択できるほど賢いとされているからです。 単純な質問には性能の低いモデルを、より複雑なリクエストにはもっとも強力なモデルを使うというわけです。 しかし、もしOpenAIがそれが良いことだと確信しているなら、なぜ月額200ドルのProプランを支払えば、手動でモデルを切り替える機能を提供し続けているのでしょうか? もちろん、誰もがGPT-5を悪いと思っているわけではありません。簡潔な回答や高速なパフォーマンスを評価し、このGPT-5モデルを楽しんでいるユーザーもいます。 しかし、私がソーシャルメディアやフォーラムで見かける議論の大部分は、否定的か、少なくとも中立的なものです。一見すると肯定的に見える投稿でさえ、最終的にはモデルを批判する内容になっています。 GPT-5 just refactored my entire codebase in one call.25 tool invocations. 3,000+ new lines. 12 brand new files.It modularized everything. Broke up monoliths. Cleaned up spaghetti.None of it worked.But boy was it beautiful. pic.twitter.com/RCTGK1DE9H — vas (@vasumanmoza) August 7, 2025