【日本市況】TOPIXが日中最高値、GDP好感-円と金利が上昇
15日の日本市場では株式が大幅に反発して東証株価指数(TOPIX)が日中の史上最高値を更新した。国内総生産(GDP)統計を受けて経済の堅調さが好感されている。政策金利引き上げ観測から円が買われて債券は下落(金利は上昇)。
TOPIXは1.5%超値上がりで13日に付けた取引時間中の最高値を上回った。4-6月期のGDPは市場予想を上回り、1-3月期がプラスに上方修正されて日本経済は5期連続のプラス成長になった。日本銀行の利上げ観測から銀行株をはじめとする大型株に投資マネーが向かっている。円が買われて金利は上昇している。
トランプ関税の影響が懸念された四半期の日本経済も堅調だった。日米金融政策を巡る市場の思惑が投資行動を左右する金融相場が続いていたところに好材料が加わった。夏休みを挟んで再開する政策決定を9月中旬に控えて、経済指標や当局者発言で相場のボラティリティー(変動率)が高くなる場面がありそうだ。
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みずほ証券の松尾勇佑シニアマーケットエコノミストは15日付リポートで、トランプ米政権が日本政府や日銀に求めているのは物価目標に沿った利上げ継続、日米金利差縮小を通じた円安・ドル高是正と対米貿易黒字是正と指摘。日銀は早ければ年内追加利上げへ検討を進めると予想した。
15日の国内株式・為替・債券相場の動き-午後2時39分時点- TOPIXは前日比1.5%高の3104.99
- 日経平均株価は1.7%高の4万3362円75銭
- 円は対ドルでニューヨーク終値比0.4%高の147円10銭
- 長期国債先物9月物は前日比13銭安の137円84銭
- 新発10年債利回りは1.5ベーシスポイント(bp)高い1.565%
株式
東京株式相場は反発。GDP速報値が市場予想を上回ったことが好感され、銀行株や大型株に買い注文が先行している。
三菱UFJフィナンシャル・グループが一時6%超値上がりして、TOPIX上昇に最も寄与している。
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GDP速報値は前期比年率1.0%増だった。設備投資が内需を支えており、日銀の金融政策正常化を後押ししている。
大和証券の坪井裕豪チーフストラテジストはGDPについて、設備投資と消費が予想を上回っており、日本経済がしっかしりした足取りになっていくという期待感を高める内容だったと指摘した。
T&Dアセットマネジメントの酒井祐輔シニア・トレーダーは、「日本へのエクスポージャーを増やす必要性から、大型株を購入する海外投資家の資金が入っているとみられる」と述べた。
インベスコ・アセット・マネジメントの木下智夫グローバル・マーケット・ストラテジストも、米利下げ期待の強まりでドル安が進むとの観測から、米投資家などが米国外の市場に資金をシフトする動きが出ており、その一環で日本株へも買いが入っているとの見方を示した。
為替
東京外国為替市場で円相場は1ドル=147円台前半に反発。GDPが市場予想を上回ったことを受けて買いが優勢だ。
あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、GDPが予想より強めだったほか、海外市場で米生産者物価指数(PPI)を受けてドルが大きく買われたことで、利益確定のドル売り・円買いが出たとの見方を示した。午前10時前の仲値決済では「実需のドル売りがやや優勢だったようだ」とも述べた。
一方で三菱UFJ信託銀行資金為替部マーケット営業課の酒井基成課長は、PPIが強かったため「15日の米小売売上高がしっかりめの内容だと、米利下げ期待が剥落する可能性がある」とし、ドル・円は148円台半ばへの上昇もあり得るとの見方を示した。
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債券
債券相場は下落。米PPIの伸び加速を受けた長期金利上昇や週末の持ち高調整の売りが出ている。10年物価連動債入札が弱い結果となり需給懸念も相場の重しになっている。
SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは、米物価高と利下げ織り込みの後退による米金利上昇が日本に波及、「週末にかけてポジションを持ちたくないという動きがある」と指摘。4-6月期GDP成長率が予想を上回ったことも、売り材料になったと見ている。
10年物価連動国債入札の結果によると、応札倍率は2.92倍と前回5月入札の3.04倍から低下し、最低落札価格は99円30銭と、市場予想99円55銭を下回った。
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