【バレーボール】ロス五輪表彰台目指す石川祐希が説く「〝経験値〟の重要性」(東スポWEB)
早くもエンジン全開の理由とは――。バレーボール男子のネーションズリーグ(VNL)1次リーグ第3週千葉大会初日(16日、千葉ポートアリーナ)、世界ランキング5位の日本は同8位のドイツに3―1で勝利し、通算成績を6勝3敗とした。今大会から合流した主将・石川祐希(29=ペルージャ)は、チーム最多となる22得点をマーク。2028年ロサンゼルス五輪の代表を懸けた戦いは来季から始まるが、すでに勝利への意欲は満々。本紙の単独インタビューに応じたエースは、大舞台を見据えて〝経験値〟の重要性を説いた。 金メダルが期待された24年パリ五輪はベスト8敗退。21年東京五輪で、フランスを頂点に導いたロラン・ティリ監督率いる新チームは「表彰台」の常連を目指している。 石川 五輪に臨む上で経験値が今以上に必要になるので、どの大会でも常に表彰台に上れるチームでありたいです。経験値は勝たないと得られない部分もあるが、例えば準々決勝、準決勝、決勝を経験して戦うことが重要で、勝敗に関してはコントロールできないけど、勝敗以上に、その舞台で結果を求めてプレーすることが重要だと思っています。 日本のエースとして長きにわたって代表の主軸として活躍。世界最高峰のイタリア1部でも10季プレーする中で、年齢と経験値は比例しないと実感したという。 石川 経験値に関しては年齢ではなく、どれだけ濃い内容の試合をできたり、表彰台に上れるかだと考えています。年齢を重ねればいろんな経験をしているので経験値は高いけど、若い年齢でも常に決勝とかに進んでいる選手の方が経験値は高いと思っています。例えば30歳で準々決勝とかしか経験してない選手よりも、18歳で決勝とかを経験していた選手の方が経験値はあると考えていて。年齢を重ねれば回数という経験値はたくさんあるけど、質の高い経験値は勝っていけば若くても積むことができるので、僕は高い内容の経験値を積んだ方が勝ちにつながると思っています。 昨季はペルージャで日本男子初の欧州チャンピオンズリーグ(CL)制覇に貢献。大舞台に立ったことで自身のさらなる伸びしろを確信した。 石川 CLで優勝したけど、ベストパフォーマンスを出せたかというとそうではなかった。優勝という結果はつかめたけど、同時にもっといいプレーができたなと悔しさじゃないけど、まだまだ強くなれる、もっといいプレーをして試合に勝てると感じました。やっぱりどのプレーに関しても「もっと質を高くしたい」とか「ミスを減らしたい」と思ったので、得意なプレーや普通のプレーをもっと強化したいし、もっと完璧を目指したいです。 ロサンゼルス五輪のターゲットは、1972年ミュンヘン五輪以来のメダル獲得。1点に泣いたパリ五輪準々決勝のリベンジへ、石川の視線は前だけを向いている。 石川 経験値は間違いなく必要になってくるし、どれだけレベルの高い試合、勝負のかかった試合ができるかが、この3年間の重要なカギになってくると思います。ロサンゼルス五輪で結果を出すということにフォーカスする3年間を過ごしたいし、得点を取るのが僕の仕事でもあり、役割ではあるので、大事な1点はしっかりと取れるようにしたいです。 かねて「世界一のプレーヤー」を目標に掲げてきた石川。長年の激闘で得た学びを胸に、新たな勲章をつかみに行く覚悟だ。 【チーム最多の22得点】石川は合流初戦から22得点と爆発した。約2か月ぶりの実戦とあって「試合が久しぶりなので、不思議というか、後半は少しあったけど、前半は試合をやっている感覚があまりなかった」と振り返った。 この日は第1セットを奪われる嫌な展開。それでも「このラウンドから合流している選手も多いので、試合勘とかそういったところも含めて仕方ないと。難しい試合になるとは試合前から話していた」と冷静に対応した。「1セット目を取られてから、2セット目以降の流れをしっかりと渡さずに、自分たちのプレーをすぐに2セット目からできたのは、今日良かったところ」と勝ちきったことで手応えを口にした。
中西崇太