「空に穴が開いた」、中東の空域閉鎖が世界の航空に与える影響

中東の空域閉鎖により航空各社は長距離便の航路変更を余儀なくされている/Flightradar24

(CNN) いま航空機追跡サイト「フライトレーダー24」を見れば、その変化は一目瞭然だ。本来なら欧州、アジア、アフリカを結ぶ航空機が密集する世界有数の空の交差点があるはずの場所に、巨大な空白が広がっている。空に穴が開いたようだ。

イランで紛争が激化し、中東全域にその影響が波及するなか、この地域の広大な空域が閉鎖されたり、航空機が飛ばなくなったりしている。そして同地域は現代の長距離航空の中心に位置しているため、その混乱ははるか遠方にまで広がっている。

数十年にわたり、欧州とアジアを結ぶ航路は中東上空をまっすぐに通過してきた。この地域にはドバイ国際空港、ドーハのハマド国際空港、アブダビのザイード国際空港といった巨大ハブ空港があるほか、東西の乗り継ぎをビジネスモデルとするエミレーツ航空やカタール航空といった航空会社が拠点を置いている。

その空域が閉鎖されれば、影響はただちに世界規模で表れる。航空機は航路変更を余儀なくされる結果、飛行時間は延び、燃料消費が増え、乗員や機体の調整が複雑化し、コストも上昇する。

航空機の配置変更が必要となり、乗員は足止めされる。不確実性が高まるなか、航空保険や航空券価格、運航の持続可能性にも影響が及ぶ。

橋の崩壊

オーストラリアの航空コンサルティング企業ストラテジック・エアーのコンサルタントディレクターであるトニー・スタントン氏は、中東の空域について欧州とアジアを結ぶ「大容量の橋」と表現する。

「その橋が崩壊したり、閉鎖されたりしても、交通の大半が消えるわけではない」と、スタントン氏はCNN Travelに語る。「主に北と南の二つの主要な航路に流れ込む。そしてその二つは幅が狭いため、非常に混雑する」

その結果、遅延が長引き、混乱は拡大し、不確実性が高まる。

その場しのぎはできない。「航空会社は好きなところを自由に飛べるわけではない」とスタントン氏は述べる。

「各国の空域を通過するには許可が必要であり、航空管制によって管理され、開放されている空域しか飛行できない。当然、これまで飛行していなかった国の上空を飛ぶには許可を得なければならない」(スタントン氏)

航空会社は地政学的な不安定さに備えている。高度なリスク監視システムが世界の火種を監視し、実際に閉鎖が起きる前から運航チームが代替案を策定できるようにしている。

新たな飛行計画が計算され、燃料搭載量が調整され、乗員が再配置される。それらすべてはスタントン氏が言うところの「円滑なプロセス」を通じて実施される。

しかし、こうした仕組みも混乱が長期化すればそこなわれる可能性がある。

現在の「空の穴」は、過去に航空業界が受けた衝撃を想起させる。

日本航空の東京発ロンドン行きJL43便はその一例だ。ロシアが2022年にウクライナへ侵攻する以前は西に向かってロシア上空を飛行していたが、この3年は太平洋、アラスカ、カナダ上空を東回りで運航している。この結果、1便あたり最大2.4時間の飛行時間増と5600ガロン(約2万1200リットル)の燃料増が生じ、負担が約20%増している。

こうした迂回(うかい)にはコストが伴う。

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