辰吉寿以輝が半年ぶり再起戦で判定勝ち「ホッとしている」中嶋一輝へのリベンジ視野にベルト目指す
<ボクシング・スーパーバンタム級ノンタイトル8回戦>◇7日◇エディオンアリーナ大阪第2競技場
日本スーパーバンタム級13位の辰吉寿以輝(28=大阪帝拳)が、半年ぶりの再起戦を白星で飾った。フィリピン同級12位アリエル・アンティマロ(22)と対戦して、3-0(76-75、77-74、77-74)の判定勝ちした。最終の8回に左フックでダウンを奪った。
「勝ってほっとしています。来年またタイトルにからめるように頑張ります」
1回、2回は飛び込んでくるような相手の左ストレートを被弾した。4回にはワイルドな右アッパーもくらった。
ただ後半は相手の左ストレートをかわしての右、ボディー攻撃に活路を見いだした。6回にはショートの右ストレートを当てて後退させた。最終8回には打ち合いの中で左フックをヒット。バランスを崩した相手が倒れて、ダウンも獲得した。
前半の劣勢を後半に巻き返し、最後のダウンもあって、3-0の判定勝ちとなった。
辰吉は「勝てたことだけが収穫。ダウンの手応えもあまりわからなかった。思ったよりも相手の手が長かった。フィリピン特有のダッシュ力プラス手の長さで、ちょっと効いたパンチもあった」と振り返った。
昨年12月に東洋太平洋同級王者中嶋一輝のベルトに挑戦した。左フックを浴びて、2回TKO負けでプロ初黒星。後頭部をマットに打ちつけて意識を失い、担架で医務室に運ばれた。
ベッドで目が覚めると、心配そうな妻優さんの顔が飛び込んできた。「みな、落ち込んでました」。周囲の沈痛な雰囲気を見て、負けたことを理解した。
ベッドに横たわったまま、すぐに「またやるからな」と言い放った。
優さんから「今、言わんといて。(頭に)入ってきーへん(こない)」とあきれられたが、すぐに練習を再開した。父の丈一郎からも「そら、そうやろ」と、背中を押された。
今後は中嶋へのリベンジも視野に入れて、再びベルトを目指す。中嶋にこだわる理由について「どんなに勝っていっても『(中嶋に)負けたやん』と言われるのはしゃくに障る」という。
父の丈一郎もビクトル・ラバナレス、ダニエル・サラゴサ(ともにメキシコ)、ウィラポン・ナコンルアンプロモーション(タイ)と負けた相手に対し、執念で再戦を仕掛けた。勝ったことも負けたこともあった。
辰吉は勝利を手にして、戦績は17勝(10KO)1敗1分けとなった。「左対策は全然だせなかった。再起戦はしっかり強い相手とやりたいと思っていた。もう少しうまく戦えると思う」と反省を口にした。
「諦めの悪い親子なんで」という辰吉が、半年ぶりの勝利を挙げて、再び歩み出した。【益田一弘】