トランプ氏の税制・歳出削減法案、上院をかろうじて通過
米連邦議会上院は1日、トランプ大統領の主要政策アジェンダを盛り込んだ3兆3000億ドル(約474兆円)規模の税制・歳出削減法案を51対50で可決した。バンス副大統領が決定票を投じた。
共和党は指導部が反対派の説得に成功し、党として政治的勝利を収めた。上院議員で造反したのはメーン州のコリンズ議員とノースカロライナ州のティリス議員、ケンタッキー州のポール議員の3人。
4兆5000億ドル規模の減税と1兆2000億ドル規模の歳出削減を盛り込んだ法案は、審議の場が下院に移る。
共和党のスーン上院院内総務は記者団に対し、「チームとして取り組んだ結果だ」と自賛。「われわれは最終的にやるべきことを成し遂げる」と述べた。
「大きくて美しい法案」とトランプ氏が呼ぶ同法案には、同氏のアジェンダ全てをひとまとめにする内容が盛り込まれている。トランプ氏自ら早期可決を求めて議員らに働き掛けていた。
共和党は、今回の法案可決が中間選挙で議会多数派の維持を助けるとみている。だが世論調査では法案の人気はさほど高くない。米ピュー・リサーチ・センターの最新世論調査では、法案反対が49%で、賛成は29%にとどまった。分からないとの回答が約21%を占めた。
下院の動き
下院共和党内では上院の法案に反対する動きがある。穏健派および超保守派の議員らは、トランプ氏の意向に従わず、同氏の内政政策を妨げる構えを見せている。
下院議員らは2日に上院案採決のためワシントンに戻る。下院は今年5月、トランプ氏の看板政策を盛り込んだ税制・歳出法案を1票差という僅差で可決した。
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だが、前回の採決で賛成票を投じることを受け入れざるを得なかった複数の共和党議員が、上院案に反対する姿勢を示し、7月4日までの成立を目指すというトランプ氏の目標達成が危うくなりつつある。
全議員が採決に参加する場合、ジョンソン下院議長が失うことのできる共和党票はわずか3票だ。5月の採決で反対票を投じた共和党のデービッドソン、マッシー両下院議員は、反対の立場を崩していない。
一方、スカリス下院院内総務は1日、記者団に対し、「明日に可決させる」と述べ、楽観的な見通しを示した。
しかし、先の下院案でコスト面に難色を示しつつも最終的に賛成に回った保守強硬派のロイ下院議員は、多くの議員が上院案に不安を抱いていると発言。「私は非常に強い懸念を持っており、支持する気になれない」と語った。
共和党内で法案に抵抗する議員らは、上院案の大幅な修正を求めている。ただメディケイド(低所得者向け医療保険)については、歳出削減の規模を問題視する議員がいる一方、さらに踏み込んだ削減を求める議員もいる。
トランプ氏は、法案の上院通過後すぐに下院に関心を移し、法案を支持するよう共和党議員らに公然と圧力をかけた。
トランプ氏は1日、「下院共和党が団結し、たまに行動を起こす『スタンドプレーヤー』(誰だか分かるだろう!)を無視しさえすれば、今すぐ全てを手に入れることができる」と投稿した。
原題:Trump Tax Bill Passes Senate as Republicans Notch Major Win (1)、Trump Tax Bill Hits Republican Resistance in House Ahead of Vote(抜粋)