長野3人殺傷、矢口雄資容疑者宅に閃光弾使って「NSIT」が突入か…チェーンソーのような「キーン」という音も : 読売新聞
長野市のJR長野駅前で男女3人が刃物で刺されて死傷した事件で、長野県警は26日、同市西尾張部、無職矢口 雄資(ゆうすけ) 容疑者(46)を、けがをした女性に対する殺人未遂容疑で逮捕した。調べに対し、黙秘しているという。県警は矢口容疑者が3人を立て続けに襲ったとみて、殺人容疑などでも調べる。
長野中央署に連行される矢口容疑者(26日午前7時36分、長野市で)=丸橋量太撮影発表によると、矢口容疑者は22日午後8時5分頃、長野駅善光寺口でバスを待っていた女性会社員(46)を刃物で刺し、殺害しようとした疑い。女性は背中に全治1週間の刺し傷などを負った。
事件では、近くにいた会社員丸山浩由さん(49)が死亡、男性会社員(37)も重傷を負った。凶器は特定されていないが、目撃者などによると、細長い刺し身包丁のような刃物だったという。
逮捕された矢口容疑者の自宅マンションを調べる捜査員ら(26日午前10時56分、長野市で)県警は、防犯カメラの映像などを手がかりに矢口容疑者を特定した。被害者との面識はなく、通り魔的犯行とみている。重軽傷の男女2人はいずれも背中を刺され、「後ろから急に襲われた」と話している。
県警は26日朝、矢口容疑者の身柄確保に着手した。捜査員らは容疑者が1人で暮らすマンションの一室を訪ねたが応答がなかったため、午前7時頃に突入。同13分、殺人未遂容疑で逮捕した。突入は立てこもり事件などに対応する県警捜査1課の特殊班「NSIT」が担い、工具でドアの鍵を破壊し、 閃光(せんこう) 弾も使用したとみられる。
矢口容疑者が暴れるようなことはなく、連行後もうつむき加減で長野中央署内に入っていった。
近くに住む男性会社員(34)は突入の時間帯に、チェーンソーで硬い物を切るような「キーン」という音を数分、その後も「ドン」という大きな音を聞いていた。確認しようと外に出て近づこうとすると、警察官に制止されたという。男性は「まさか目と鼻の先に容疑者がいたなんて」と驚いていた。
防犯カメラがとらえた男の足取りと矢口容疑者宅付近の住民などによると、矢口容疑者は長野市出身で、3人兄弟の末っ子。現在のマンションは2020年から単身契約で借りており、目立ったトラブルなどはなかった。近所づきあいはほとんどなかったとみられる。
矢口容疑者の小学生時代を知る女性(76)は「おとなしくて、静かな子だった」と話している。
市民「ほっとした」
長野駅前での凶行に不安を募らせていた市民は、容疑者の逮捕に 安堵(あんど) の表情を浮かべた。
長野市の自営業の女性(32)は26日、現場近くに設けられた献花台に手を合わせた。小学4年の長女(10)が怖がるため、事件翌日は学校を休ませたという。「容疑者が見つかりほっとした。こうした事件は、いつ起きるかわからない。今後も子どもの安全に注意を払いたい」と話した。
市教育委員会によると、事件への不安を理由に、23、24日の平日2日間に市立小中学校を休んだ児童・生徒は延べ約4800人に上った。同駅ビルや駅周辺の店舗も事件後、閉店時間を繰り上げるなどしていた。