「ある日、ある時、ない男。」開幕、良いティッシュを置いてくれた髙地優吾に共演者が感謝(公演 / 会見レポート / 舞台写真あり)
髙地優吾(SixTONES)が主演を務める舞台「ある日、ある時、ない男。」が、昨日8月25日に東京・グローブ座で開幕。これに先駆け昨日、ゲネプロと初日前会見が行われた。なお記事では作品の内容に触れているほか、舞台写真が掲載されているため、ネタバレを避けたい読者は注意してほしい。
本作は西田征史が作・演出を手がける新作コメディ。運もお金も夢も希望もない車谷良介(髙地)が暮らす街に、巨大ショッピングモールがオープンすることに。高揚した空気が街に満ちる中、彼の耳に飛び込んできたのは2000万円の裏取引の情報だった。良介はわらにもすがる思いで、人生の一発逆転をかけて動き出し……。
ステージは階段付きの2段組みになっており、舞台を覆うパネルのところどころが俳優の出入り口になっている。パネルのそこここに映像が映し出されることで、舞台は良介の部屋、弁当屋、ショッピングモールなどに次々と様相を変える。遅刻しそうになった良介が全速力で自転車を漕ぐ場面では、大きな「うおおおおおお」という文字の映像が舞台上に流れ、観客の笑いを誘った。
劇中では良介と親友の土居直樹(森永悠希)のほか、土居の恋人・笹峰たまよ(大野いと)、マジシャンの星信男(オラキオ)、清掃員の関口小百合(佐藤仁美)、ハトを扱うプロである八木孝雄(片桐仁)などさまざまな人々の人生が、良介の住む街とショッピングモールを舞台に交差していくさまが描かれた。良介には冒頭から、自転車のサドルを盗まれたり、万引き犯に間違えられたり、ダイエット食品を押し売りされたりとさまざまな不運が襲いかかる。良介役の髙地は眉を八の字にして「生きてる意味あるのかな」と嘆きつつ、良介を友達思いで心根が優しい人物として立ち上げた。
森永はミュージシャン志望でありながら行動を起こせない土居を、情けないが憎めない人物として描き出す。元合唱部の良介と土居がデュエットをするシーンでは、元気の良い歌声で観客を和ませた。また夢破れて清掃員をしている関口役の佐藤が見せるやさぐれた演技や、八木役の片桐がほかのキャストと繰り広げるテンポの良い掛け合いにも期待しよう。
ゲネプロ後に行われた会見には髙地、森永、大野、オラキオ、佐藤、片桐、そして作・演出の西田が登壇した。西田は「登場人物の導線を細かく決めたらト書きが増え、台本が分厚くなった」と笑い、「稽古初日に髙地くんが台本を全部覚えてきてくれたおかげで、ほかのみんなに『台本を置かなきゃ』というプレッシャーが生まれ(笑)、早いペースで稽古が進みました」と述べた。
髙地は「舞台や客席を文字通り走り回る舞台です。僕はグローブ座に立つのは今回が初めて。移動が多いので、舞台裏でぶつからないように全員で交通整理をがんばっています」と言う。髙地は自身が所属するSixTONESのメンバーが「みんな、僕の台本の分厚さに引いていた(笑)」と明かし、「先日は田中樹が出演する舞台『ぼくらの七日間戦争 2025』が初日を迎え、京本大我が出演するミュージカル『Once』ももうすぐ始まります。上半期はSixTONESとしてがんばったぶん、下半期は『個々の活動をがんばるぞ』と気を引き締めています」と言葉に力を込める。またオラキオが「男子楽屋にティッシュがないことに気付いた髙地くんが、保湿タイプの良いティッシュを置いてくれた」と“髙地座長”の裏話を披露すると、髙地は「エピソード、ちょっと弱くないですか!?」と声を上げ、観客の笑いを誘った。
森永は「グローブ座は階段が多い。階段の昇降で本番中も地味に体力が奪われる(笑)。体力勝負ですが、全公演がんばりたい」と気合い十分の様子。大野は「ゲネプロが終わってホッとしていますが、緊張感もある。皆さん、ステージ上でも舞台裏でも走り回っています。この温かい物語のメッセージをしっかり伝えたい」と語る。
本作の題材にちなみ、オラキオは“ついていない”エピソードを披露。ゲネプロ当日、劇場入りが予定より20分遅れたというオラキオが「犬の散歩に行ったら、うちの犬と仲が良いワンちゃんに道で会って散歩が長引いた。そのうえ区役所も混んでいたから……」と話すと、片桐が「言い訳ですね」とツッコんで報道陣を笑わせた。
佐藤は「ほかのキャストは着替えが多いけど、私の衣裳はこれだけ(笑)。一番の目標は、オラちゃん(オラキオ)のアドリブを十分にフォローすることです」とコメント。片桐は「気付けば僕も、座組の最年長になるような年齢になりました。みんなとワンチームでがんばっていけたら」と微笑んだ。
上演時間は約1時間50分となり、東京公演は9月16日まで。その後本作は、21日から28日まで大阪の梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ、10月4日から7日まで福岡・J:COM北九州芸術劇場 大ホールでも上演される。
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ある日、ある時、ない男。
2025年8月25日(月)〜9月16日(火)東京都 東京グローブ座2025年9月21日(日)〜28日(日)大阪府 梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ2025年10月4日(土)〜7日(火)
福岡県 J:COM北九州芸術劇場 大ホール