ソロス氏の財団、根拠ない捜査は権力乱用と批判-トランプ氏が名指し
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- 司法省、オープン・ソサエティー財団巡り捜査計画策定指示-NYT
- トランプ氏による報復、ホワイトハウスが助長しているとの見方も
著名投資家ジョージ・ソロス氏が創設したオープン・ソサエティー財団は、同財団に対して米連邦当局による根拠のない捜査が進められれば、トランプ政権による権力の乱用であり、言論の自由を脅かすことになると批判した。
米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は世界的な影響力のある慈善団体とされているオープン・ソサエティー財団を巡り、米司法省の高官が全米各地の連邦検事にテロ支援を含む犯罪に関与した疑いで捜査計画を策定するよう指示したと報じた。
同財団はこの報道に言及し、「こうした主張は政治的動機に基づく市民社会攻撃であり、政権が気に入らない言論を封じ、合衆国憲法修正第1条の権利を損なおうとするものだ。権力が乱用され一部の人々の権利が奪われれば、全ての人々の権利がリスクにさらされる」とする声明をX(旧ツイッター)を通じ発表した。
トランプ大統領は25日、ホワイトハウスが国内テロ対策と位置付ける大統領令に署名し、左派系抗議活動を扇動していると自ら非難してきた団体や資金提供者を標的にすると表明した。
連邦捜査がどの程度の範囲に及ぶかは現時点で不明だが、トランプ氏は追加調査の対象になり得る人物としてソロス氏や著名な民主党献金者リード・ホフマン氏の名を挙げた。ホフマン氏はベンチャーキャピタルのグレイロック・パートナーズのパートナーだ。
トランプ氏はただ、問題視しているとする団体に具体的に誰が資金提供しているかは知らないとも述べた。
ホフマン氏の代理人はコメントを控えた。オープン・ソサエティー財団とグレイロック・パートナーズは、トランプ氏の発言に関する取材要請にすぐには応じなかった。
トランプ氏は昨年の選挙戦中から「復讐」を公言。自身を批判してきた人々に報復するキャンペーンをホワイトハウスがエスカレートさせているとの非難が広がりつつあり、トランプ氏が法執行機関を政治利用しているとの見方につながっている。
連邦検察当局はニューヨーク州のジェームズ司法長官やカリフォルニア州選出のアダム・シフ上院議員(民主党)に対する住宅ローン詐欺疑惑を捜査しているが、両者は疑惑を否定している。
トランプ氏は元大統領補佐官ジョン・ボルトン氏に対しても刑事訴追の可能性を検討。ボンディ司法長官に宛てたSNS投稿で、トランプ氏はコミー元連邦捜査局(FBI)長官とシフ氏、ジェームズ氏は「とてつもなく有罪だ」と主張した。
司法省は25日、コミー氏が2020年に行った議会への虚偽証言や妨害行為で起訴されたと発表した。
トランプ氏は先月、95歳のソロス氏が暴力的な抗議活動やその他「多くのこと」を支援したとして起訴すべきだとSNS上で訴えたが、証拠も具体的な活動も示さなかった。ソロス氏について「気を付けろ、監視しているぞ!」とも投稿した。
司法省の報道官は声明で、「潜在的な訴訟や捜査についてはコメントしない。司法長官は米国民一人一人の安全を守ることに尽力している。もし組織が米国民の安全を脅かし、米国法に違反すれば、捜査や訴追を含め、あらゆる合法的手段で責任を追及する。テロに居場所はない」と説明した。
原題:Soros Foundation Says Possible DOJ Probe Would Stifle Speech (2) (抜粋)
— 取材協力 Derek Wallbank, Kate Sullivan and Bill Allison