4600グラムで誕生 山梨学院・菰田に母が望んだ競技は… 甲子園

初戦の2回戦、聖光学院(福島)戦で力投する山梨学院の菰田陽生選手=阪神甲子園球場で2025年8月12日、西夏生撮影

 身長194センチ、体重100キロに成長した大きな体は、生まれた時からの特徴だったという。

 開催中の全国高校野球選手権大会で投打「二刀流」の活躍で注目されている山梨学院の菰田陽生(はるき)選手(2年)の母理恵さんは、こう語る。

 「最初は3400グラムと言われていたんですけど、生まれたら4600グラムだったんです。背の順で並ぶ時でも、ずっと一番後ろで頭一つ出ていました」

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 菰田選手の靴のサイズは現在、32センチ。生まれた時に足のサイズは16センチもあったという。

 子ども用の靴では足が入りきらず、幼少期から、大人用にあるような、ひもで結ぶタイプの靴を履いて育ってきた。

 両親は、ともに特別に目立つほどの長身ではない。上武大で野球を続けている兄の朝陽さんは身長175センチで俊足が武器と、弟の菰田選手とタイプが異なる。

3回戦の岡山学芸館戦で適時打を放つ山梨学院の菰田陽生選手=阪神甲子園球場で2025年8月16日、長澤凜太郎撮影

 家族で似ているのは、理恵さんの父、菰田選手にとって母方の祖父だ。180センチを超える長身で、顔もそっくりだという。

 バレーボールの経験がある理恵さんは、菰田選手にはその体格を生かして「バレーをしてほしかった」と話す。

 一方、父英典さんは子供たちに野球をしてほしかったため、「野球以外はやっちゃダメ、と。選択肢はなかったですね」と、いたずらっぽく笑う。庭には壁当てができるように壁を設置し、打撃練習にも付き合うなど、二人三脚で野球選手としての基礎を作り上げてきた。

 理恵さんは「上の子(朝陽さん)がもう野球をしていたので、下の子(菰田選手)にはバレーをやらせたいって(夫と)けんかになりました。でもこうして(甲子園に出る)夢がかなって、大きく産んで良かったなと、今になって思います」と語る。

 今春のセンバツで菰田選手は1試合に救援登板し、3回無失点だった。今夏は初戦の2回戦、続く3回戦でいずれも先発のマウンドに立ち、計12回を投げて1失点と好投している。

 岡山学芸館との3回戦では球速150キロを計測し、打っては3安打3打点の活躍をした。

 甲子園で躍動する菰田選手に英典さんは、二刀流の道を切り開いた米大リーガーを引き合いに出し、「大谷翔平選手のようになってくれれば一番うれしい」と期待を寄せる。

 理恵さんは「心臓がいくつあっても足りない」と心配しながらも、「少しずつ、まずはチームの期待に応えられるようにステップアップしてほしいです」。

 大きな背中を、両親がアルプススタンドから見守っている。【吉川雄飛】

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