NY市場サマリー(24日)米国株続落、ドル上昇、中長期債利回り上昇

<為替> ニューヨーク外為市場では、ドルが円やスイスフラン、ユーロなどの主要通貨に対し上昇した。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が前日の講演で追加緩和に慎重な姿勢を示したことがドルの支援要因になった。

ドル/円は0.83%高の148.85円まで上昇し、約3週間ぶりの高値を更新。これまで3日連続で下落していた。

パウエルFRB議長は23日に行った講演で、 利下げを急ぎすぎればインフレが再び急上昇するリスクがある一方、利下げを過度に緩やかなペースで進めれば失業率が不必要に上昇する恐れがあると指摘。FRBインフレと雇用市場の弱まりという相反するリスクのバランスを取り続ける必要があると述べ、慎重な姿勢を維持した。

メルク・ハード・カレンシー・ファンド(カリフォルニア州)の社長兼最高投資責任者、アクセル・メルク氏は「パウエル議長は先行きの不確実性についてこれまで以上に明確に語り、インフレ圧力が根強く残るにもかかわらず、利下げが必要だと主張するために相当な配慮をしていると感じた」と指摘。ただ「今回はやや含みを持たせた発言となり、ややタカ派的とも受け止められる」と述べた。

ステート・ストリート(ボストン)のシニア・グローバル・マーケット・ストラテジスト、マービン・ロー氏は「FRBの金融政策は引き続き経済指標次第になる」と指摘。今週は26日に発表される個人消費支出(PCE)物価指数が注目されている。

NY外為市場:

<債券> 米金融・債券市場では、国債利回りが小幅上昇。大規模な国債と社債の発行が背景とみられる。

指標となる10年債利回りは一時、5日以来の高水準を付けた後、終盤の取引は2.1ベーシスポイント(bp)上昇の4.14%。

30年債利回りは1bp上昇の4.747%。

BMOの米金利戦略チームのアナリスト、ベイル・ハートマン氏は「マクロ経済のファンダメンタルズに関する投資家の見方の変化よりも、テクニカル要因と(社債と国債)の供給の絡むところが大きい」と述べた。

24日は、米オラクル(ORCL.N), opens new tabによる総額180億ドル規模の社債を含め、複数の数十億ドル規模の社債発行があった。

米金融・債券市場:

<株式> 米国株式市場は続落して取引を終えた。主要株価指数が最高値圏にある中、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が前日の講演で株価が割高になっている可能性に言及したほか、週内にインフレ指標の発表を控えていることもあり、投資家が利益確定に動いた。

主要株価3指数は今週、そろって3日連続で過去最高値を記録した。パウエル議長は23日、資産価格はかなり高く評価されているようだと述べた。

LNWの最高投資責任者、ロン・アルバハリー氏は「S&Pの予想PER(株価収益率)は23─24倍で、これには今後5年間に年率15%程度の利益成長率が織り込まれており、かなり割高に思える」と指摘。「市場がパウエル議長の発言を理由にやや持ち高を減らすのは理にかなっている」と述べた。

S&P総合500種(.SPX), opens new tabの業種別では素材株(.SPLRCM), opens new tabの下げが最大だった。インドネシアのグラスベルグ鉱山で不可抗力を宣言したフリーポート・マクモラン(FCX.N), opens new tabが17%急落した。一方、原油高を受けてエネルギー株.SPNYは上昇した。

カナダの鉱山会社リチウム・アメリカズの米上場株は2倍近くに急騰。トランプ政権が同社株の最大10%取得を目指しているとのロイターの報道を受けた。

米国株式市場:

<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、連日で最高値を更新した反動から利益確定の売りが優勢となり、4営業日ぶりに反落 した。

金相場は前日、中心限月清算値ベースで3800ドルの大台を超え、最高値を連日で更新した。この日は高値警戒感が広がる中、利益確定の売りが先行した。また、外国為替市場では対ユーロでドル買いが優勢。ドル建てで取引される商品の割高感につながり、金が売られた。

市場は、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策に関する手掛かりを得ようと、週末26日に発表される8月の米個人消費支出(PCE)物価指数の内容を注視。FRBのパウエル議長は23日の講演で、インフレを巡る不確実性がなおも高いと指摘した上で、次の10月末の次回会合に向け、経済指標を注意深く精査すると強調した。 サクソバンクの商品戦略責任者オール・ハンセン氏は24日付のリポートで「貴金属相 場は、勢いだけでなく構造上や、無視しづらいマクロ的リスク要因が重なり、数十年ぶりとも言える強い上昇局面にある。短期的な調整局面は起こり得るし、それは健全だ。20 25年最終四半期に入るにあたり、より広範囲の要因を背景に金、銀、白金は引き続きの投資の中心的な存在にとどまるだろう」と述べた。

NY貴金属:

<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、米原油在庫の減少を好感した買いが入り、続伸した。

米エネルギー情報局(EIA)が午前に発表した週間原油在庫統計(19日までの1週間)によると、原油在庫は前週比60万バレル減と、市場予想(20万バレル増=ロイタ ー調査)に反して小幅な取り崩しとなった。ガソリン在庫は110万バレル減と、市場予想(20万バレル増)を大幅に上回る取り崩しを記録。ディスティレート(留出油) は170万バレル減と、市場予想である50万バレル減を上回った。これを受け需給の引き締まり観測が強まり、発表後は買いが先行した。

ロイターによると、イラクと同国のクルド自治政府、石油企業が22日、トルコ経由での原油輸出再開に向け合意した。一方、石油企業2社が債務返済保証を求め、23日に合意は頓挫。23日時点で輸出は再開しなかった。

NYMEXエネルギー:

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