テキサス州知事、選挙区再編案の採決欠席で民主党議員の拘束命令
[オースティン(米テキサス州) 4日 ロイター] - 米テキサス州のアボット知事は共和党が示した下院選の州選挙区の区割り再編案に対する採決を阻止するために州外へ出た州下院の民主党議員らにオースティンへ戻るよう命じた。
共和党の州下院議長は4日の議会で、イリノイ州、ニューヨーク州、マサチューセッツ州などに退避した大半の民主党議員らをオースティンに連れ戻すために民事拘束令状を発行した。しかし命令は州内にのみ適用され、定足数割れは犯罪でない。
50人以上に上る民主党議員らの集団退避は共和党が区割り再編案の採決に必要な定足数を確保できないようにするのが目的で、この再編案はトランプ米大統領が推進している。共和党は民主党が現在保持している議席の一部を奪うことを狙って選挙区の区割りを変更し、来年の中間選挙で連邦下院のわずかな多数派を維持しようとしている。
アボット氏は声明で「州民に対する義務を放棄した議員をだれでも捜索、拘束し議場に連れ戻すよう州公安局に命じた」と述べた。
アボット氏は3日、州司法長官の見解を引用し、議員が「職務放棄」のために議席を失ったかどうかを地方裁判所が判断できるとし、アボット氏が「迅速に空席を埋める権限が得られる」と述べた。しかし、仮にアボット氏が欠席した民主党議員を排除できても新たな選挙を実施するまで時間がかかる。
アボット氏は別の手段として、欠席している議員が1日500ドルの罰金を支払うために資金を募った場合、賄賂法に違反する可能性があると警告した。
テキサス州下院民主党議員団の議長ジーン・ウー氏は4日、ロイターに対して「われわれはみなさんを守るために行動しているのに、知事は逮捕すると脅しているのだ」と語った。
ホワイトハウス関係者はロイターに対し、トランプ氏がアボット氏の民主党議員排除の動きを支持しており「必要なことは何でもやる」よう求めていると語った。
各州は10年ごとに実施する国勢調査に基づいて選挙区の区割りの再編が義務付けられているが、現在のテキサス州の区割りは共和党が多数を占める州議会で4年前に制定したばかりだ。中間期で再編するのはまれで、たいていは議会の権力構成が変化した場合に実施される。
カリフォルニア州やイリノイ州のような民主党主導の州はアボット氏の動きに対抗して、自州の選挙区を再編し民主党の議席を増やす案が浮上している。
カリフォルニア州のニューサム知事は、民主党議員が職務を怠っているというアボット氏の主張に反論し、トランプ大統領と共和党が政治システムを悪用していると非難した。
「彼らはルールを守らない。既存のルールで勝てないならルールを変えるだろう。それがトランプのやっていることだ」と述べた。
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